Research Abstract |
本研究課題ではmmオーダでヒト腕/手指のような多自由度系の実現を目指して,本年度には,ECFジェットを駆動源とした,小形,軽量,柔軟の特長をもつロボットハンドを提案,試作し,実験による特性評価を行った.また,ロボットアーム駆動のための液圧サーボシステムのマイクロな領域での実現可能性を探るため,ローリングダイアフラムおよびECFを用いて両方向駆動マイクロシリンダを提案,試作して,特性解明実験を行なった. まず,ロボットハンドは,人間の手と同じように5個の柔軟なフィンガとECFタンクで構成されている.各ロボットフィンガは湾曲アクチュエータとECFジェット発生部からなり,ECFタンクをコモンラインとして,ECFロボットハンドを構成して把持動作を行う.本研究のフィンガでは,低い圧力で大きい変位が得られるように,ゴムチューブの軸方向に1本の強化繊維が,周方向に等間隔の強化繊維が配置された.ECFロボットフィンガの試作,実験を通して,X方向への最大変位は印加電圧6kV時に約30mmであった.Y方向の変位は,印加電圧5.3kV時に27mmをピークとして,内側に回り込み,印加電圧6kVで約23mmになった.このフィンガを5本用いてECFロボットハンドを試作し,コップ,テープなどの把持実験を行い有効性を確認した. ついで,ECFの外部漏れを防ぎ,摺動の問題を解決することができるローリングダイアフラムを用いて,ECFジェット駆動マイクロシリンダの試作を行なった.試作したマイクロシリンダの寸法は,ボディ部が16x16x18.5mm^3,ピストン部を含めた全長は25.0mmである.また,試作したマイクロシリンダの,印加電圧に対する発生力や出力変位についての特性実験を通して,マイクロシリンダの有効ストロークは,約1.5mmであること,さらに,ボディ部に対するピストン部の相対位置により異なるものの,印加電圧3.0kV時に,110~160mNの発生力を得られることを明らかにした.
|