2009 Fiscal Year Annual Research Report
ピエゾ効果を利用した摩擦力の低減と低摩擦コーティングの開発
Project/Area Number |
21246030
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
後藤 真宏 National Institute for Materials Science, 次世代太陽電池センター, 主幹研究員 (00343872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 章 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, 主幹研究員 (70354355)
土佐 正弘 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, グループリーダー (20343832)
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Keywords | 酸化亜鉛 / ピエゾ効果 / 低摩擦材料 / コンビナトリアルスパッタコーティング / 結晶配向性制御 / スパッタ成膜 / 省エネルギー / 摩擦 |
Research Abstract |
資源の枯渇の問題が深刻になり、現在、各種輸送機関のシステム駆動部(例えば鉄道、自動車の軸受けなど)の低摩擦化による省エネルギー化が注目されている。鉛が含まれた各種銅合金、アルミ合金は、その代表格であり、熱処理、ドーピングなどの材料の創製法を駆使して材料の低摩擦化が進められてきた。しかしながら、今後はエネルギーならびに環境問題への対策から、更なる低摩擦化の実現、鉛フリーの低摩擦材料の開発が望まれている。近年我々は、ピエゾ効果を発現することが知られている酸化亜鉛(ZnO)のコーティング膜をステンレス鋼などの部材に被覆し、真空環境下で摺動すると、摩擦力が非常に小さくなる現象が発現することを見いだした。そこで、本プロジェクトでは、ピエゾ効果が低摩擦現象を引き起こすメカニズムの解明に挑戦すると共に、潤滑油中にて低摩擦化を可能とするピエゾコーティング膜の創製を目的とした。 ピエゾコーティソグ膜とその低摩擦現象との相関を詳細に解析し、メカニズムの解明につなげるためには、まずはZnO膜の結晶配向性の完全な制御と少しずつ結晶配向性を変化させながら異なる膜を作製する技術の確立が必要不可欠である。本年度は、コンビナトリアルスパッタコーティング装置を改良・活用し、試行錯誤を繰り返した結果、前述の技術を確立することができた。このようにわずかに結晶配向性を変化させながら多くの膜を作製し、その真空摩擦特性、Raman特性、密着性、膜破断強度などを詳細に評価した。その結果、ピエゾ効果による真空中の低摩擦現象は以前推測されていたピエゾ効果が最大となる(002)面の結晶配向性を有する膜においてではなく、(002)面と他のある面包囲の結晶とが混合したものであることを世界で初めて解明した。
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Research Products
(11 results)