2009 Fiscal Year Annual Research Report
異なる三つの法則が支配する非平衡気液界面の分子輸送過程に関するマルチスケール展開
Project/Area Number |
21246031
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤川 重雄 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (70111937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 正夫 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30274484)
矢野 猛 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60200557)
彭 國義 日本大学, 工学部, 准教授 (90295527)
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Keywords | 気液界面 / 相変化 / 蒸発・凝縮 / 分子動力学 / 分子気体力学 / 気体論境界条件 / 蒸発係数 / 凝縮係数 |
Research Abstract |
当初の計画どおりに研究を進め、以下の成果を得た。 (1)衝撃波管と分子気体力学による水蒸気の凝縮係数測定:衝撃波の固体表面での反射によって引き起こされる水蒸気の気液非平衡凝縮を実験とボルツマン方程式の数値計算により扱い、300K程度の気液界面での水蒸気のさまざまな非平衡度に対して、水蒸気の凝縮係数を決定した。その結果、凝縮係数は平衡状態では、理論の予測どおり蒸発係数に等しく、非平衡度の増大とともに減少することを明らかにした。特に、平衡状態近傍での凝縮係数の決定は難しく、一世紀以上にわたり論争の対象であったが、本研究により正確な値が決定された。この成果により、気液界面の境界条件が閉じた形で表わされ、工学はもとより自然科学のさまざまな分野で使用されることが期待される。 (2)音波共鳴管と分子気体力学による水蒸気の蒸発係数決定:音波の共鳴現象を利用した気液平衡状態近傍での弱い蒸発・凝縮を対象として、実験とボルツマン方程式解析に基づく蒸気の蒸発係数(ほぼ凝縮係数と等しい)決定法を提案した。この研究は、上記(1)の研究と相補的関係にあり、(1)の研究結果の妥当性を別の面から検証するために行われるものである。今年度は実験装置の製作とボルツマン方程式の解析法の開発で終了し、実験装置の真空到達度向上に課題が残った。 (3)ナノサイズのアルゴン液滴の表面張力および蒸発係数の分子動力学解析:ナノサイズのアルゴン液滴の蒸発に関する分子動力学法に基づく理論解析を行い、ナノ液滴半径と蒸発係数の関数関係、ナノ液滴の蒸発係数と平面状気液界面での蒸発係数の関数関係、さらにナノ液滴の表面張力およびその温度依存性を明らかにした。
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Research Products
(14 results)