2009 Fiscal Year Annual Research Report
人間の危険源回避行動に着目した正味リスクの評価に関する研究
Project/Area Number |
21246041
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 陽滋 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90166744)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 進 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40329850)
長谷 和徳 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 准教授 (10357775)
|
Keywords | 回避可能性 / リスク見積もり / 反応時間 / ダイナミックダミー / シュミレータ / 眼 / 心理学実験 / 人間・ロボット共存系 |
Research Abstract |
本研究では,機械安全のためのリスクアセスメント過程において,人間が機械から受傷するリスクを見積もる際に,機械的な衝突の危険源を回避しようとする第3のリスク要素である回避可能性を定量評価できるようにすることを目的とした.計画初年度は,以下に示すような心理学実験のプロトコルをデザインした.すなわち,ロボットは小型部品を把持するために先端の尖ったエンドエフェクタを腕先に搭載している.参加者が部品の組み立て作業を行っている際に、その眼のあたりに向かってロボットを意図的に暴走させる.そのときの参加者の回避行動特性として,エンドエフェクタが運動し始めてから,参加者が頭部を動かし始めるまでの時間を「回避反応時間」と定義し,回避反応時間の確率分布を推定する.まず,確率分布を求めるための前処理として,統計データに対してカーネル推定法を用いて連続化した.つぎに,刺激応答特性としてしばしば適用されるex-Gaussian分布へのフィッティングを行うことにした.加えて,参加者が回避行動を開始してから,その中心視野で捉えるまでの時間をサッカード反応時間と定義し,これも統計的に求めることにした.その後,モーションキャプチャ,視線検出装置および双腕ロボットを中心とする心理学実験システムを構築した.実験においては,参加者に要請する作業の難易度に変化を与え,彼らの集中の度合いに差を設けて,それぞれの作業を繰り返し試行する予備実験を行った.その結果,タスクへの集中度に依存して回避反応時間分布が統計的に変化することが観測された.また,サッカード反応時間はいずれの試行においても,正の値を示した.
|