2011 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲ダイナミックアクティブセンシングによる生体眼の構造剛性と眼圧剛性の分離
Project/Area Number |
21246043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金子 真 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70224607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東森 充 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30346522)
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Keywords | 計測工学 / 機械力学 |
Research Abstract |
眼圧計測値には純粋な眼圧成分以外に角膜等の構造剛性に起因する圧力成分が介入している.この構造剛性を評価して,眼圧評価を向上させるというのが本研究の目的である.この目的に対して,平成23年度は,臨床応用を視野に入れ,空気噴流印加時の眼の角膜変形のデータ所得及び硬さ評価まで含めて1秒以内に完了する計測システム構築を目指して研究を進めてきた.高速処理を可能にするため,角膜中心部と周辺部に二本の1ピクセルラインウィンドウを配置し,5kHzのサンプリングで175ライン分のデータを実時間で取得後,コンピュータにセーブした後,角膜中心の変形量から周辺部の変形量をオフラインで引算することにより,眼圧に関与する角膜中心の変形取得が約1分で行えるようになった.さらに,阪大病院に通院されている正常眼圧緑内障患者や強度近視患者に対して,承諾書をとった上で,眼の硬さ評価を行い,「正常眼圧緑内障や強度近視の患者の眼の構造剛性が柔らかい」という仮説を裏付けるだけのエビデンスデータも継続的に取得し,取得データを前年度までに取得済みのデータに追加して,正常眼圧緑内障と強度近視の併発患者20名と健常者25名の眼の角膜変位特性について統計的に調べた結果,有意水準5%以内で両者に有意差が認めるところまで確認できた.この結果は,正常眼圧緑内障と強度近視の患者の眼が健常者に比べて柔らかいことを意味し,併発患者が多い高齢者に対して現状の眼圧計器は低めに提示し,結果的に緑内障の候補となる高眼圧高齢者を見逃してしまう可能性があることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
眼圧計測値には純粋な眼圧成分以外に角膜等の構造剛性に起因する圧力成分が介入している.この構造剛性を評価して,眼圧評価を向上させるというのが本研究の目的である.本研究ではすでに角膜変位や角膜曲率に着目することにより角膜に起因する構造剛性の評価法を確立し,高齢者に対して現状の眼圧器は眼圧を過小評価してしまう点を示唆している.さらに本研究の当初目的を超えて,臨床現場で使えるように計測の高速化にまでチャレンジしている.
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Strategy for Future Research Activity |
・計測の高速化に向け一番のネックは,角膜表面部と空気層との境界位置の高分解能化で,今年度以降,照明条件,処理アルゴルリズムの改良で対応していく予定である. ・角膜特性だけでなく,網膜部組織の硬さ計測についても挑戦する予定である.
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