2011 Fiscal Year Annual Research Report
不純物ナノ構造の局所光応答とスケーラブル光子デバイスの実現
Project/Area Number |
21246052
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小島 磨 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (00415845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 隆 神戸大学, 工学研究科, 教授 (10221186)
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Keywords | 不純物 / アイソエレクトロニック発光 / GaAs / 窒素ペア / 光子放出 |
Research Abstract |
本研究ではスケーラブルな光子デバイス応用を目指して励起子のナノ構造を創り上げる。具体的にはエピタキシャル結晶成長技術によって精密に制御した窒素原子のオーダリングを利用してGaAs中に配列した窒素ペアを作製する。制御された窒素ペアに局在する励起子ナノ構造の局所光応答の基礎物性を明らかにした上で、単一光子・量子もつれ光子対光源、量子ゲート操作など量子通信に利用できるデバイス動作の原理を実証する。そのためには励起子の空間構造の制御だけでなく、放出光の時間的デザイン、すなわち光電場などによる位相制御が必要になる。平成22年度は前年度より明らかにしつつある配列窒素構造(窒素ペア構造)の励起子微細偏光分離構造に対して、磁場などの外場を利用した精密な制御技術を構築した。また、単一光子源の実現に向けて空間分解分光の精密な評価を実施し、単一窒素ペア中心の局所光応答の基礎サイエンスを明らかにすることを目的に研究を推進した。 本年度はこれまでに明らかにしつつある配列窒素構造(窒素ペア構造)の励起子微細偏光分離構造に対して、より詳細な磁場による励起子状態制御技術を構築した。特に本年はこの新しい発光線に対しても磁場により励起子微細構造の制御を実施するとともに、超高速パルスシステムを利用することによって励起子発光ダイナミックスの精密な評価を実施した。具体的には以下のとおりである。 ◆窒素原子ナノ構造の空間制御【喜多】 窒素ペア配列構造を有する光子デバイスに不可欠な共振器構造の最適化をを行った。 ◆磁場により励起子微細構造の制御と制御に必要な物性パラメターの抽出【喜多、小島】 磁場を印加することによって励起子微細構造のエネルギー状態や遷移選択則が変化する。光子もつれの条件を満たす縮退した電子状態を実現する条件を見出した。また、励起子の局在状態を磁気フォトルミネッセンス測定から明らかにした。 ◆窒素ペア中心からの光子放出特性の解明とダイナミックス【小島】 超高速パルスシステムを用いて励起子発光ダイナミックスの精密な評価を実施した。その結果、局在した励起子による長寿命発光を観測した。これらの特性は電子の短距離ポテンシャルを考慮することで説明することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では分子線エピタキシー結晶成長技術を駆使した制御性の高い方法で結晶を成長しているために、物性の再現性がきわめてすぐれており、予定通りの成果が得られている。特に、本課題の中心的な研究テーマである発光特性のスケーラビリティーについては、1~600ペアまでの極めて多数の中心からの不均一拡がりの抑制を確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、最終年度である次年度平成24年度は、共振器による輻射特性の制御と発光特性に及ぼす歪やフォノンの影響を明らかにしてゆく。
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