2011 Fiscal Year Annual Research Report
一般化周波数変数を有する動的システム論：大規模系の性能評価と自律分散推定・制御
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21246067
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
原 辰次 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80134972)
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| Keywords | 一般化周波数変数を持つ動的システム / マルチエージェントシステム / 自律分散制御 / 大規模階層化動的システム / ロバスト安定性 / 協調安定化 / 遺伝子制御ネットワーク / 分散データ処理 |
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| Research Abstract |
本研究の目的は、対象はネットワークで結合された大規模系を対象とし、その動的挙動を系統的に解析・設計する統一的な理論を構築することであり、(1) 解析手法（性能評価法）の構築、(2) 設計手法（同定・推定・制御）の開発、(3) 応用による検証、の３つに分けて研究を遂行している。平成23年度の研究成果は、以下の通りである。
(1)「解析手法」に関して：(1a) これまで得られた線形系に対するロバスト安定条件の非線形系への拡張を各エージェントの消散性に着目して行い、それらが直列に結合した非線形系のロバスト安定条件（線形不等式条件）を導出した。さらに、その結果に基づいて、接続行列の固有値条件など、従来結果との比較を行った。(1b) これまで得られた均質な階層化システムに対する結果の非均質な階層化システムに拡張を目指し、その統一的表現を提案し、固有値分布に基づく安定条件を導いた。
(2)「設計手法」に関して：(2a) 非均質な階層化システムに対する固有値分布に基づいて、低ランク接続による階層化安定化制御系の設計アルゴリズムを提案した。(2b) 分散制御器設計問題に関しては、最適制御問題・ロバスト制御問題に対して、望みの分散構造を達成するシステムの階層構造と重み行列の階層構造をその代数的構造に着目して明らかした。
(3)「応用」に関して：生体システムへの応用を中心に行い、以下の結果を得た。(3a) ロバスト安定性解析の結果をベースに、各遺伝子の動特性が異なる巡回型遺伝子制御ネットワークの局所安定性解析を行い、周期振動の存在条件に関する存在新たな生物学的知見を得た。(3b)遺伝子ネットワークをサブシステムとして持つ細胞ネットワークの周期振動存在条件を、階層化システムの安定条件をベースに求めた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)「解析手法」に関して：非線形系への拡張と非均質な階層化システムへの拡張は、概ね順調に結果が得られた。しかし、相互作用が確率的変動を有する場合については、問題設定はできたものの確率的安定性条件を導出するまでには至っていない。
(2)「設計手法」に関して：非均質な階層化システムに対する安定化手法ならびに希望の分散構造を有する最適制御・ロバスト制御系設計手法については、概ね期待通りの結果が得られた。しかし、階層化システムの同定アルゴリズムや分散可観測性条件については、試行錯誤を繰り返している段階で、有用な結果は得られていない。
(3)「応用」に関して：遺伝子ネットワーク・細胞ネットワークなど生体システムへの応用に関しては、期待以上の成果が得られ、新たな生物学的知見も得られた。しかし、「分散データ処理」に関しては、効率的な検索アルゴリズムの構築には至っていない。
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| Strategy for Future Research Activity |
(1)「解析手法」に関して：非線形系への拡張と非均質な階層化システムへの拡張については、ロバスト安定性ならびに制御性能評価について検討を進める。また、相互作用が確率的変動を有する場合については、確率的安定性条件を導出する。
(2)「設計手法」に関して：非均質な階層化システムに対しての系統的な安定化手法を開発し、階層的分散制御の枠組みでの最適制御やロバスト制御系設計手法として確立していく。また、階層化システムの同定アルゴリズムの提案ならびに分散可観測性条件の導出を行う。
(3)「応用」に関して：生体システムに関しては細胞ネットワークなど階層化システムへの応用に焦点を当てるとともに、時空間パターン形成（チューリングパターン形成などン）解析・設計手法の確立を目指す。一方、分散データ処理に関しては、効率的な検索アルゴリズムの構築に向けた検討をさらに進める。
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