2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21246068
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國島 正彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (00201468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 昌英 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (50332573)
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Keywords | 建設マネジメント / 政府開発援助(ODA) / 調達制度 / 入札制度 / 契約制度 / QBSとQCBS / 総合評価落札方式 / 輸出保険制度 |
Research Abstract |
日本の公共調達制度と整合し国際的にも通用する政府開発援助(ODA)事業の調達制度の規則やガイドライン等の立案を目指して、各種の文献・資料調査、および国際協力機構(JICA)の関係者、途上国の政府関係者および大学研究機関の研究者、先進国の開発コンサルタント、建設企業の技術者、および輸出保険会社の担当者等への聞き取り調査を実施した。 ベトナム、中国、タイ、ドイツ等に関する調査研究から、ODA事業の中核となる社会基盤開発整備事業の調達制度の実態に関して、以下に示すような幾つかの有益な知見が得られた。 (1)東南アジアにおける社会基盤整備事業の建設市場では国際競争入札が一般的であり日本の建設会社は中国や韓国の建設会社に圧倒されて受注できない。その理由は、(1)日本の品質水準に拘って応札するので価格が高くなる。途上国に特有な受注調整(たとえば、某国では工事価格の15%程度の手数料が必要という商慣習)の実態が分からない。(3)建設プロジェクトの経費が分からない。各途上国における人件費の金額と必要経費の構造が分からない。すなわち、途上国における人件費の見積りは途上国のコンサルタントに丸投げし、日本企業に関する人件費は日本での金額を基準に算定するのが一般的なので、お金の流れの実態が把握できていない。(2)日本政府が資金協力し日本企業を優遇する事業案件(STEP案件)の場合でも、日本企業の関心は必ずしも高くない。(3)開発コンサルタントの選定方式が、QCBS(品質と価格を勘案)を基本とした総合評価落札方式は、優れた日本のコンサルタントを排除する恐れがある。 ドイツのHermes輸出保険は、途上国の社会基盤整備事業に進出する中小企業を念頭に、民間企業の保険会社では受けきれないリスクや不確定要素のある場合でも、当該途上国への輸出振興外交、経済交流等)を支援する保険システムという、日本では類を見ない制度であることが分かった。
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Research Products
(6 results)