2011 Fiscal Year Annual Research Report
拘束された集合柱による新しい耐震構造の実用化に関する研究
Project/Area Number |
21246073
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 純男 京都大学, 防災研究所, 教授 (70187293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 良和 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10283623)
五十嵐 晃 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80263101)
酒井 久和 広島工業大学, 工学部, 教授 (00360371)
後藤 浩之 京都大学, 防災研究所, 助教 (70452323)
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Keywords | 集合柱 / 摩擦減衰 / 弾性 / 弾塑性 / コンクリート柱 |
Research Abstract |
良く知られているように,建築物や土木構造物に対する現在の耐震設計では,レベル2地震動と呼ばれる「きわめて希であるが、非常に強い地震動」に対して,弾性範囲を超えた塑性領域に入ることを許容して,構造系全体が倒壊しなければOK,としている.従って震度7のような強烈な地震動の地域では,現状の耐震設計では相当な損傷が発生することは避けられず,地震後にその損傷を補修しなければならない. 本研究では,提案する新しい柱構造によって,損傷ではない塑性応答を実現化することを目的としている.提案する構造は柱を縦に分割する.ここで分割した柱部材に横拘束部材をあてがい拘束力を与えると,分割した柱部材の間に摩擦が働くようになり,その結果として復元力-変形量関係は通常の弾塑性と同じ挙動を示すようになり,与える拘束力を変化させることにより,復元力-変形量関係を制御できる. 本研究では,本構造を現実の鉄筋コンクリート柱でどのように実現するかについて検討する.平成23年度には1方向曲げ柱の実物大模型を1体作成し,振動台実験を実施した.その結果以下の結論を得た. ・摩擦面の最適な材料として,カーボンファイバーで補強されたフェノール樹脂が優れていることが明らかとなった. ・実物大化・鉄筋コンクリート化した実物大模型は,地震動入力に対しても当初の性能を発揮することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度は2方向曲げ供試体を用いた静的載荷実験を実施し,実用的なコンクリート柱としての性能を検証し,平成23年度の研究として,1方向曲げ供試体を用いた動的振動台実験を実施し,地震時における実物大コンクリート柱としての性能を検証できた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は最終年度であるので,平成23年度までの研究成果をまとめることによって,実構造物に「拘束された集合柱による新しい耐震構造」を適用する場合の設計法を確立する.その際には実験では計測できなかった摩擦力を知る必要があるので,数値解析を実施し,実物大コンクリート柱としての挙動メカニズムを明らかにする.
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