2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21246076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東畑 郁生 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20155500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内村 太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (60292885)
山田 卓 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (70451789)
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Keywords | 斜面崩壊 / 岩石 / 物理的風化 / せん断強度 / 室内実験 / 現場実験 / 温度効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1)山地の岩盤性の斜面が風化・劣化して強度を失い、豪雨などの自然災害をきっかけに崩落する現象を、実験室内で再現すること、2)実験結果を基にして、風化が進行している自然斜面の崩壊危険度を評価・警告できる方法を提案することである。そのような目的の下で、平成22年度は次のような研究を行なった。 (1)前年度に製作した力学的風化再現型三軸せん断装置(冷凍と加温を繰り返す)を用い、国内外の岩石サンプルの実験を行なった。前年度の一軸圧縮試験と同様に、風化の進捗にともなって微小変形時の剛性が低下して強度喪失と整合することを期待していた。ところが風化の初期には逆に剛性が高まることが普遍的に見出された。多面多岐な実験と検討を行い、拘束圧力の作用下では亀裂の発生した岩石でもなお摩擦抵抗を発揮することができるので、剛性が高まることもありうる、という結論に至った。実際に崩壊する斜面では、すべり面がごく浅所にあるので、拘束圧の影響が顕著にはならない。 (2)パキスタンや中国・四川省の風化不安定斜面で現場実験を行い、S波伝播速度とせん断強度の相関を調べた。これと実験室で得られた同種のデータとを併せ、S波伝播速度を簡易に計測することによって現場斜面のせん断強度や豪雨時の斜面安定度を評価するデータベースを形成している。現在までの成果では、データはサンプルが形状をなお維持しているせん断試験結果のグループと、すでに岩石がばらばらに崩壊した現場斜面データのグループに分かれている。風化の進展した斜面では後者のグループから実用的な相関関係を取得することが妥当である。 (3)化学的な風化を再現するために、泥岩・花崗岩・石灰岩の破砕粒子に硫酸を作用させて分解を促進する実験を行なった。粒子表面を顕微鏡観察すると、表面の凹凸が激しくなり、粒子間の摩擦抵抗がむしろ増加する場合もあることがわかった。化学的な風化は斜面災害においてはあまり重要ではない、と考えている。
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Research Products
(7 results)