2011 Fiscal Year Annual Research Report
多様な巨大地震動に対する超高層鋼構造骨組の塑性変形性能向上技術の開発
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21246087
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吹田 啓一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (70206374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 剛 神戸大学, 工学研究科, 教授 (90243328)
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 教授 (00207771)
林 康裕 京都大学, 工学研究科, 教授 (70324704)
佐藤 篤司 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (00362319)
聲高 裕治 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80343234)
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Keywords | 鋼構造 / 柱梁接合部 / 塑性変形能力 / 溶接接合部 / 長周期地震動 / パルス性地震動 / 疲労 / 耐震補強 |
Research Abstract |
多様な地震動を受ける鋼構造骨組の耐震性能を評価するため,地震動と応答特性の解析的検討を行い,また柱梁接合部の塑性変形能力の定量化に必要な載荷実験を実施した. 1.多様な地震動を受ける建物の地震応答特性:パルス性の強い地震動の特性と建物の応答特性を把握するため,断層パラメータの検討,超高層建物の構造特性の検討を行った. 2.変形性能評価法を構築するための梁端接合部実験:履歴依存型変形性能評価法の枠組みを確立し定量的な評価を行うために必要な変形性能評価曲線の取得を目的とする実験を行った.(a)床スラブの合成効果を評価する実験では床スラブの有無と梁端接合部の最大耐力を実験変数とする8体の試験体による一定振幅繰返し載荷実験を行い,終局・破断までの変形能力と破断に結びつく亀裂進展挙動の定式化を行い,床スラブが変形性能に及ぼす影響の定量的情報を得た.(b)溶接欠陥の影響を評価する実験では溶接金属の強度を新たな変数とする実験を行い,変形性能に及ぼす影響を評価した.(c)梁断面の寸法効果の影響を評価する実験では断面寸法,フランジ板厚の大きい試験体による一定振幅載荷実験を行い,断面寸法の相違が変形性能と亀裂進展挙動に及ぼす影響を評価した.(d)載荷履歴の影響を評価する実験では,標準接合部試験体に,異なる振幅を組み合わせた2段階振幅載荷および超高層建物の応答履歴を模したランダム載荷による実験を行い,提案する変形性能評価手法を地震応答時の変形性能に適用する方法を構築した. 3.変断面梁により梁端接合部補強の影響を評価する実験:梁フランジ端部を増厚した接合部の繰返し載荷実験により,溶接部の応力低減による接合部補強方法の効果を明らかにした. 4.高強度鋼骨組による変形性能の向上に関する実験:高強度鋼柱梁と座屈拘束ブレース型制振ダンパーで構成される部分架構実験を行い,高い弾性限変形と安定した繰返し履歴特性を実現する設計法を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請時に予定した5つの載荷実験をすべて実施した結果、鋼構造骨組の変形能力に及ぼす合成梁の影響、溶接欠陥の影響、梁断面寸法効果を明らかにし、地震応答に対応するランダムな繰返し履歴に対応した変形能力を構築することに成功した。さらに、梁端フランジ増厚、さらには高強度鋼と制振ダンパーの組み合わせにより変形能力を向上させる技術についても載荷実験による検証を経てその設計法を提示する成果を得た。いずれも当初計画以上の進展が見られ、次年度はさらに新たな条件の相違に対する検討を実施することで、一層の研究の進展が見込まれる成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに当初予定を上回る成果を得て溶接柱梁接合部に対する履歴依存型変形性能評価法を構築するに至っており、次年度はさらに新たな条件として、接合部耐力が標準よりも低い場合、スカラップ形式の溶接詳細、合成スラブなどの性能低下に結びつく条件が複合した場合の性能評価を行い、耐震補強の必要性と有効な補強法の評価に結びつけることを計画する。
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