2009 Fiscal Year Annual Research Report
耐熱合金の高温水蒸気酸化機構と高温エネルギー変換の高効率化
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21246108
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
丸山 俊夫 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (20114895)
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Keywords | 耐熱合金 / 耐熱鋼 / 高温水蒸気酸化 / 火力発電 / 水素 / プロトン / 内部酸化 / 外部酸化 / 水素透過能 |
Research Abstract |
(1)内部酸化/外部酸化の遷移に及ぼす水素の影響 フェライト系Fe-Cr合金を用いた内部酸化実験を,水素の存在下/非存在下において700℃で行い,内部酸化層中の酸素の拡散に及ぼす水素の影饗を調べた。その結果、合金中に溶解し水素は内部酸化物/母相金属の界面における酸素の輸送を促進することを明らかにした。 (2)外部酸化膜の形成に必要な合金元素濃度に及ぼす水蒸気の影響 種々の濃度のフェライト系Fe-Cr合金を用いて,内部酸化/外部酸化の遷移に関する実験を、700℃、乾燥および湿潤雰囲気で行った。この際、新たに開発した酸化中の試料表面の酸素ポテンシャルを連続的に測定手法を応用し、その酸素ポテンシャルから、内部酸化/外部酸化の遷移を評価できることを提案し、酸化後の試料の断面観察と比較して確認した。その結果、雰囲気の水蒸気が解離して合金中に溶解し水素が(1)で示したように、内部酸化物/母相金属の界面における酸素の輸送を促進することに対応し、湿潤雰囲気ではより高濃度のCrが外部酸化膜の形成に必要となることを明らかにした。 (3)Cr_2O_3酸化皮膜中に水素透過能 Fe-Cr合金箔を制御された条件で酸化することによって作製したCr_2O_3皮膜の水素透過能を、膜両側の酸素分圧を同じにしながら,水素分圧のみを変化させ、1000℃で測定した。その結果、低酸素分圧下におけるCr_2O_3皮膜中では酸素空孔の位置に、水素が中性原子として溶解することを示唆した。
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