2011 Fiscal Year Annual Research Report
耐熱合金の高温水蒸気酸化機構と高温エネルギー変換の高効率化
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21246108
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
丸山 俊夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20114895)
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Keywords | 耐熱合金 / 耐熱鋼 / 高温水蒸気酸化 / 火力発電 / 水素 / プロトン / 内部酸化/外部酸化 / 水素透過能 |
Research Abstract |
1)外部皮膜の成長に及ぼす水素(プロトン)の影響 ア)FeO、Fe_3O_4,Fe_2O_3などの鉄系酸化物中への水素の溶解形態と透過能 Pt-Fe合金中のFeの活量と濃度の関係を973K~1273Kの温度範囲、Fe濃度1 at%~64at%の範囲で決定した。この結果をもとに、FeO中の水素透過能測定に供する酸化物膜を作製する条件を検討した。すなわち、Pt-64at%Fe合金箔を1273Kで酸素分圧を制御した条件での酸化挙動を調べた。層状のFeOの外部酸化膜が得られること、酸化後の合金中のFe濃度は51at%まで低下することすること、少量の内部酸化物も析出することを明らかにした。内部酸化物は合金中の水素透過を阻害するほどに量ではなく、得られた試料は水素透過能の測定に使用可能であることを確認した。 イ)酸化皮膜成長速度に及ぼす溶解水素(プロトン)の効果 Fe-Cr合金の高温酸化において、水蒸気は内部酸化から外部酸化への遷移を遅らせて、耐酸化性を損なうことを明らかにできたが、酸化皮膜の成長速度を変化させるほどのプロトンが溶解するかどうかについては研究を継続中である。 2)酸化皮膜の剥離に及ぼす水蒸気の効果 ウ)酸化初期における熱サイクル酸化と皮膜の剥離・破壊に及ぼす水蒸気の効果 Fe-Cr合金のサイクル酸化を乾燥CO-CO_2および水蒸気雰囲気で行い、皮膜の剥離・破壊現象を調べた。亀裂発生による雰囲気酸素分圧の低下を、試料の極めて近傍に設置した酸素センサーで連続的に測定した。水蒸気の雰囲気中では亀裂の発生頻度が極めて増加し、生成する酸化物が脆くなることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
並行して行っている研究課題について、個々に進行度が異なるが、新規アイデアによる実験も多く、装置の開発も常に行っている。これらは次年度(最終年度)に繋がるものであり、総体的にはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度となる。これまで新規アイデア、自ら開発作製した新規装置による研究成果も順調に蓄積してきており、水蒸気酸化機構の解明もかなり進めることができ、火力発電の高温化、高効率化に資する材料設計の指針も提言したいと考えている。
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