2010 Fiscal Year Annual Research Report
メゾスケール構造制御による高強度金属系ナノ・マイクロマテリアルの創製
Project/Area Number |
21246112
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山崎 徹 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (30137252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 丈幸 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (50316048)
藤田 和孝 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (10156862)
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Keywords | ナノ結晶合金 / 電解析出法 / 金属ガラス / 力学特性 / 成形加工 |
Research Abstract |
本研究では、電解析出法及び液体急冷法を利用して、ナノ結晶合金や金属ガラス合金中に、「メゾスケールの偏析構造」を形成させ、大きな塑性変形性能を発現させることを目的とする。このためのメゾスケール構造の形成のための合金組成の最適化と、その塑性変形機構の解明を目指した。 電析プロセスにより高強度Ni-Wナノ結晶合金を作製した。電解浴中のNiイオン濃度の調整および溶存酸素量の低減処理を行うことにより、試料厚さが増加しても安定した高強度ナノ結晶材料を作製できることが確認された。これらナノ結晶合金を用いて引張試験を行うと、破断面は延性なディンプルパターンを示し、主せん断変形帯近傍の数μmの領域まで大きな塑性変形を拡大させることができ、加工硬化を伴った1%程度の塑性変形を発現させることができた。これは、局所変形時の温度上昇による軟化現象と関係していると考えられ、今後は、引き続きひずみ速度や雰囲気温度と引張時の塑性変形量との相関性を検討することが必要である。一方、金属ガラスにおいては、引張変形時のせん断帯中の過冷却液体の粘度が上がると加工硬化が生じることが期待され、Zr-Cu-Ni-Al系金属ガラスにおいても微量の貴金属を添加することにより過冷却液体中に準結晶相が析出しやすくすると、過冷却液体粘性の経時的な上昇が生じることが明らかとなった。このため、準結晶相の析出速度との関係から、歪み速度を低速度側に変化させると加工軟化の抑制の発が観察された。今後は、過冷却液体中で準結晶相の析出挙動を制御することにより、明瞭な加工硬化の発現を目指す。
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