2011 Fiscal Year Annual Research Report
CNT透明電極を用いた有機ELデバイスの作成評価と有機薄膜形成の動的計測
Project/Area Number |
21246118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 由岐夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20332570)
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Keywords | 有機EL / 結晶析出 / 臨界過飽和度 / 乾燥速度 / 蛍光 |
Research Abstract |
「研究目的」低分子有機半導体薄膜を塗布により作製し、蒸着法の性能と比較して同等以上を目指す。 「研究成果」塗布・乾燥過程における低分子有機薄膜の形成ダイナミクスを明らかにした。 (1)塗布薄膜形成の動的計測: In-situ計測としてPL(蛍光)のスペクトル変化を計測した。同時に、重量変化や薄膜の表面温度変化を測定した。ポイントは溶液状態から有機分子が析出し、最終的に固相薄膜に動的変化する状態を知ることにある。これにより、プロセス特性としての乾燥速度に依存した過飽和度と析出した固相の物性の相関を知ることである。その結果、乾燥速度が速いと結晶が析出する臨界過飽和度は高くなる。しかも、溶解度の低い有機分子ほど臨界過飽和度は高い。 (2)塗布薄膜の物性測定: X線回折スペクトル、示差熱分析スペクトル、TG-DTA分析とmass同時分析などから膜の結晶性と残存溶媒の量を知ることができた。その結果、乾燥速度が速いほど結晶子が小さくアモルファスに近づくことや、残存溶媒量が少なくなることがわかった。残存溶媒量が少なくなるとd-space(結晶内の面間隔)は小さくなる。その結果、光学バンドギャップ(吸光度の波長依存性から求める)は小さくなる。つまり、d-spaceが小さくなり、バンドギャップが小さくなる。以上、(1)の結果と重ねると、乾燥速度は臨界過飽和度を決定し、析出する結晶の大きさや内部構造を決め、塗布薄膜の物性に大きな影響を与えることがわかった。 (3)蒸着膜との比較: 有機蒸着膜の構造は基板温度と蒸着速度で決まる。基板特性の影響は蒸着初期の核発生に現れる。基板温度が結晶化温度よりも低いときはアモルファスであり、高いときは結晶化する。塗布膜と比較するには、それぞれの製膜の最適化を行わないと簡単に比較はできない。我々は、デバイスとしての界面ホール注入性と移動度を測定した。塗布膜は蒸着膜に比較して同等であった。
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Research Products
(14 results)