Research Abstract |
ドーパミンはアミロイド分解を担う鍵物質である.本研究課題では,ドーパミンを利用しつつ,細胞表層のストレス状態に応じて,ドーパミン変換/アミロイド形成を制御する生体内反応システムを理解し,アルツハイマー病のもう1つの側面を明らかにする事を目的とする.アミロイド分解を目的として,ドーパミン代謝経路に必須な変換システムをリボソーム膜上に構築するための設計戦略を展開した.研究を効率よく遂行するため,以下の課題に分類した.A班:断片提示されたAβの多機能性の検討,B班:APPを出発物質とするLIPOzyme設計,C班:ADにおける生体膜異常化の診断/正常化プロセスの検討 A班では,まず反応機構の解析を行った.リボソーム膜上におけるAβ/Cu錯体の反応機構を検討し,プロトン移動に伴う電子移動,膜界面の水和状態が鍵であることを見出した. 次に,結晶多形性を体系的に解析した.電子顕微鏡や全反射顕微鏡を用いて,異常生体膜上におけるアミロイド線維,スフェルライト,アモルファスを形成する条件を整理・検討した. B班では,ドーパミン代謝系酵素の表面特性解析を進めた.水性二相分配法(表面/局所的疎水性),固定化リポソームクロマトグラフィー(局所的疎水性),固定化リポソーム水晶振動子法(IL-QCM)(分子内水素結合安定性)による表面特性解析を行う.ストレス条件下における構造活性相関を検討する. C班では,B班支援のためのIL-QCMの開発,および,メンブレンチップのプロトタイプを作成し,メンブレノーム情報の基盤を構築した.翌年度のB班の網羅的解析に協力する体制を整備した.
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