2012 Fiscal Year Annual Research Report
新しい微粒化概念に基づく液体ロケットエンジン用微粒化シミュレータの開発
Project/Area Number |
21246125
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅村 章 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60134152)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 微粒化理論 / 数値シミュレーション / サブグリッドモデル / モデリング / 液体ロケット / 乱流微粒化 / 自己不安定化機構 / 二流体同軸ジェット |
Research Abstract |
(1) 乱流微粒化サブグリッドモデルの構築を目指した基礎研究 ●短いノズルから層流状態で高速噴射された液体の微粒化が、ノズル内で作られたせん断層が、噴射液の表面近くに残っているために生じることを理論的に示し、その自己不安定化機構を明らかにした。乱流状態で噴射されるジェットでも基本的な微粒化特性が層流ジェットと同じになることより、平均流におけるせん断層の存在が、乱流微粒化を引き起こしていると考えられる。乱流塊が表面から飛び出して微粒化が起きるとする従来の考えには科学的根拠が薄弱であることが判明した。 ●これまで超音波微粒化とジェットの微粒化は、全く独立な問題として、異なった研究者群によって調べられてきているが、筆者は、ジェットの乱流微粒化は超音波微粒化と原理を同じくすると考えている。超音波微粒化での基盤の振動と同じ役割を噴射液の不安定波が果たすことができるからである。そこで、ファラディー波に対して数値実験を行い、液糸の生成条件を明らかにすると共に、これまでの実験で求められてきた液滴生成条件の誤りを正した。また、液体ロケット用ノズルを用いた実験でのノズル近傍の噴射液の表面変形を撮影した高速度画像の詳細解析により、上記の考えに従って微粒化が発生していることを確認した。これにより、乱流微粒化サブグリッドモデルの定式化に必要な基礎知識がほぼ整った。 (2)新しい微粒化概念の妥当性を検証する宇宙実験の準備 航空機実験により宇宙実験の条件設定を確認すると共に、実験室実験によって重力の効きを調べた。大きな成果としては、実験室実験での低速噴射液ジェットのヒステリシス現象を利用し、噴射液の先端収縮によって作られる表面張力波が、上流に遡っていく間に重力加速ジェットによって波長が伸び、不安定波に転化する様子を示す画像を得ることができた。これは新しい微粒化概念を直接的に実証する画像である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究を進めていくうちに、物理探求の深度が一層深まり、当初想定していたよりも有力な乱流微粒化サブグリッドモデルを構築する独創的なアイデアを得た。宇宙実験の実施に結びつけることができ、基礎概念の実験的詳細検証が可能になった。また、宇宙実験成果の公表に照準を合わせたプリーカーサーとしてこれまで国際誌に発表してきている研究成果は、国際的に非常に高い評価を獲得している。
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Strategy for Future Research Activity |
結果的に当初の研究計画と多少異なる道筋を辿った部分はあるものの、当初の研究目標を期間内に達成できる目途が立っている。従って、現在の構想に基づき必要な研究を着実にこなしていくことが大切であると考えている。
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Research Products
(8 results)