2009 Fiscal Year Annual Research Report
アトムプローブによる原子炉材料の粒界偏析の原子レベル観察と粒界劣化機構の解明
Project/Area Number |
21246142
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 康介 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授 (10302209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外山 健 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (50510129)
畠山 賢彦 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30375109)
松川 義孝 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (70566356)
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Keywords | 3次元アトムプローブ / 粒界偏析 / 粒界脆化 / 応力腐食割れ / 真空破面蒸着 / レーザー / 陽電子消滅 / 原子炉高経年化 |
Research Abstract |
本研究は、3次元レーザーアトムプローブを用いて、「割れた」粒界と「割れていない」粒界両方を原子レベルの分解能で観察する新しい粒界偏析の解析法を開発し、それに他の実験手法を相補的に組み合わせ、さらに第一原理計算と直接比較することにより、高経年化原子炉材料(圧力容器鋼やシュラウド等)の粒界脆化や粒界割れ機構(すなわち、粒界偏析との因果関係)を解明することを目的とする。 今年度は、まず「割れた」粒界のアトムプローブ観察を可能にするため、高真空中で作製した破面たニッケル真空蒸着で保護膜をつくり、その後、集束イオンビームでナノ加工してアトムプローブ針状試料を作製する手法と装置の開発を行った。本研究で観察する領域は、破面(表面)から数nm程度の極表面近傍であり、表面から数十nm程度の深さまでイオン照射による損傷が導入されてしまう集束イオンビームのデポジションでは、損傷を与えることなくアトムプローブ試料を作製することが困難であった。新たに開発した本装置によってほとんど損傷を与えることなく破面最表面に保護膜を形成することに成功した。 また、上記の装置開発に平行して、「割れていない」粒界のアトムプローブ観察も行った。圧力容器鋼のモデル合金では、Pの粒界偏析が熱時効によって生じることを明らかにした。さらに、ベルギーBR2炉を用いて、同モデル合金の中性子照射を行った。来年度以降は、照射試料の冷却後、ホットラポへの搬入、切断し、アトムプローブ測定を行う予定である。照射による偏析の熱時効による偏析の差異を議論する。また、陽電子消滅等、他の手法の測定、第一原理計算の予測と実験結果の比較を行う。
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Research Products
(27 results)