2011 Fiscal Year Annual Research Report
同位体選択的レーザー光脱離を用いたコンパクト化汎用加速器質量分析法の開発
Project/Area Number |
21246144
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井口 哲夫 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60134483)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原林 順 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80283414)
渡辺 賢一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30324461)
富田 英生 名古屋大学, 核燃料管理施設, 准教授 (20432239)
|
Keywords | 同位体分析 / レーザー / 加速器質量分析 / 光脱離 / 負イオン |
Research Abstract |
本研究では、加速器質量分析法(AMS)に同位体選択的レーザー光脱離の原理を導入することで、AMSの本来の性能を保ちつつ、その弱点である装置規模のコンパクト化と汎用性を高める要素技術開発を目的としている。 平成23年度は、同位体選択的レーザー光脱離を用いたAMS概念の基礎実験のため、レーザーアブレーションパルス負イオン源と飛行時間型質量分析装置を組み合わせた負イオン光脱離基礎実験装置を製作し、予備的な実験検討を行った。本手法で用いる同位体選択的レーザー光脱離を実現するための基本構成要素であるレーザーアブレーションパルス負イオン源について、ターゲット物質を従来のヨウ化銀(AgI)からヨウ化アンモニウム(NH_4I)に変更した結果、放出特性を大きく改善することができた。具体的には、負イオン放出の閾レーザーエネルギーは増加するものの、長時間安定にヨウ素パルス負イオンの得られることを確認し、ヨウ素負イオンのレーザー光脱離断面積の系統的な測定に向けた最適条件の探索がなされた。また、同位体選択的光脱離AMSの有用性について、基礎実験結果をもとに予備的な検証を行った。レーザーアブレーションパルス負イオン源と光脱離用波長可変チタンサファイアレーザー光源を組合せて同位体選択的レーザー光脱離AMSを構成する場合、例えば、今般の福島第一原子力発電所の過酷事故に伴うフォールアウトにより土壌中に沈着した^<129>I分析に対して、10~1000s程度の測定時間で分析可能という見積もりが得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本手法で用いる構成要素の基礎特性を明らかにするなど、本手法の技術的成立性の検証に向け、着実な進展が見られる。しかしながら、平成21年度に導入した(光脱離のための波長可変チタンサファイアレーザー用励起光源)に不具合があり、長時間の定常運転が難しい状態にある。このため、基礎実験にて検証する項目の選択と集中を図り、当初の研究目標の達成を目指す予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度にあたる今年度は、(1)ヨウ素負イオンのレーザー光脱離断面積の系統的な測定と評価、(2)ヨウ素を対象とした同位体選択的レーザー光脱離実験データに基づく分析条件の最適化、および(3)既設AMSへの搭載することを念頭に置いたビームラインを実験データに基づき設計検討し、本低エネルギーAMSの技術的成立性を検証する。
|