2009 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームRNA遺伝子のゲノムの安定性維持における役割
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21247003
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
小林 武彦 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 教授 (40270475)
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Keywords | DNA損傷 / 遺伝子増幅 / ゲノムの不安定性 / 組換え / 出芽酵母 / リボソームRNA遺伝子 / 修復酵素 / コンデンシン |
Research Abstract |
rDNAコピー数の異なる株の作製 研究実施計画通り、rDNAコピー数を2コピーまで減少させた株(これは増幅を防ぐためFOB1を破壊してある)にプラスミドからFob1を供給し、30、80、120回分裂させた後、FOB1プラスミドを除き20、40、60、80、110コピーのrDNAを持つ株を作製した。さらにSIR2遺伝子を破壊しrDNAの安定性の低下した株、ヒストン修飾に関係する遺伝子を破棄してコピー数が300コピー以上に増加した株を作製した。 rDNAのコピー数の低下がDNA損傷感受性を引き起こ分子機構の解析 上で作製した様々なrDNAコピー数を有する株を用いて、紫外線や発ガン物質等のDNA損傷に対する感受性を調べた結果、コピーが低下するにつれて感受性が増していった。しかし野生株以上のコピー数にしてもDNA損傷に対する感受性は野生株と変わらなかった。この低コピー依存的な損傷感受性機構を解明するために、rDNAの安定性とDNA損傷修復に関係する変異株をスクリーニングしたところ、rDNAの転写、DNA2本鎖切断修復酵素群、及び姉妹染色分体の接着に関わる遺伝子が関係していることが判明した。中でもコンデンシンのrDNAに対する結合量が低コピー株で顕著に低下していることが判った。以上のことからrDNAのコピー数が低下は、転写依存的にDNA修復機構、特に姉妹染色分体間の組換えを利用した修復機構、を阻害し細胞をDNA損傷に対して感受性にしていることが判明した。
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