2010 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームRNA遺伝子のゲノムの安定性維持における役割
Project/Area Number |
21247003
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
小林 武彦 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 教授 (40270475)
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Keywords | DNA損傷 / 遺伝子増幅 / ゲノムの不安定性 / 組換え / 出芽酵母 / リボソームRNA遺伝子 / 修復酵素 / コンデンシン |
Research Abstract |
非コードの転写と細胞老化の関係の解析 申請者らのこれまでの研究で、rDNAの安定性は遺伝子間領域に存在するnoncodingプロモーター(E-pro)の転写活性により調節させていることが判明している。そこでこのプロモーターを誘導可能なプロモーター(GAL)に置き換えた株を用い、rDNAの安定性のみを変化させ老化に与える影響を解析した。その結果プロモーターがOFFの場合には、rDNAは安定化し、寿命の延長が確認された。またプロモーターがONの場合にはrDNAは不安定化し寿命の短縮が見られた。このことからnoncodingプロモーターからの転写が寿命を決定していることが判明した。 ガラクトースが非コード転写に与える影響 非コードプロモーター(E-pro)の転写は、コヒーシンを除去しrDNAの安定性を下げる作用を持つことが知られている。上で述べたように出芽酵母の寿命はE-proの転写活性に支配されている。この研究結果に付随して、野生株では培地をグルコースからガラクトースに変えるだけで寿命が短縮することが判った。これは全く期待していなかった結果であったため、前年度予算を一部繰り越してグルコース及びガラクトース培地で生育させた細胞のE-proの転写量をノーザンブロッティング法で確認した。その結果グルコースとガラクトースでE-proの発現量に優位な差はみられなかった。このことから、ガラクトースでみられた寿命の短縮はE-pro以外の要因によると考えられる。おそらくガラクトース培地ではミトコンドリアによる酸素呼吸が亢進されるため、そこで発生する活性酸素がE-proとは独立に寿命にネガティブに働くと予想される。この活性酸素の経路は本研究計画とは異なるのでこれ以上の解析は当面は行わないこととする。
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Research Products
(10 results)