2010 Fiscal Year Annual Research Report
負の張力センサーとして機能するアクチン線維:その物理化学機構の解明
Project/Area Number |
21247021
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽我部 正博 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10093428)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰巳 仁史 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (20171720)
|
Keywords | アクチン線維 / コフィリン / 伸展刺激 / 張力 / 回転ゆらぎ / 光ピンセット / 一分子観察 / 分子動力学 |
Research Abstract |
アクチン線維の動態(形成/崩壊)制御は細胞の形態維持や運動(形態変化)を支える中心機構である。アクチン線維は力発生要素であると同時に力によって動態が制御されるが、その仕組みは不明で細胞生物学における最重要課題とされている。本研究の目標は、アクチン線維自身が力を感じてアクチン切断因子コフィリンの活性を調節することで、自らの動態を制御する"メカノセンサー"として働くことを実証し、その機構を解明することである。前年度の研究で、コフィリンの結合確率がアクチン線維の張力に依存して減少することが分かった。本年度の目標は、張力によるアクチン線維の高次構造の変化の解析である。電子顕微鏡による観察で、アクチン線維にコフィリンが結合すると、アクチン線維のねじれ(軸方向の回転)度が変化することが分かっているので、コブィリンの結合はアクチン線維の回転度と関係する可能性がある。そこで、「張力がアクチン線維の回転のゆらぎ度に影響して、コフィリンの結合度が変わる」という仮説を立てた。この仮説を検討するために、まずアクチン線維の回転ゆらぎの張力依存性を測定した。蛍光粒子が付着した直径2ミクロンのガラスビーズを先端に結合したアクチン線維を、変性ミオシンをコートしたガラス表面から重力方向にぶら下げ(線維にかかる力学負荷は非常に小さい)、蛍光粒子の動きからアクチン線維の回転を計測した。アクチン線維の張力はガラスビーズを光ピンセットで垂直方向に引っ張ることで制御した。その結果、アクチン線維の回転ゆらぎの振幅はアクチン線維の張力に依存して小さくなることが分かった。次年度は回転ゆらぎに対するコフィリンの影響を解析して仮説の検証を目指す。上記実験と並行して、アクチン分子14個からなる線維の分子動力学計算を行い、回転ゆらぎの評価に成功した。次年度は張力負荷時の回転ゆらぎを計算して実験結果との比較を行う。
|
Research Products
(6 results)
-
-
-
-
-
[Book] Mechanosensing Biology(Ed.Noda M)2010
Author(s)
Tatsumi H, Hayakawa K, Sokabe M
Total Pages
219
Publisher
Springer verlag pp3-45, Nanotechnology in mechanobiology : mechanical manipulation of cells and organelle while monitoring intracellular signaling
-