2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21247030
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岸本 健雄 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (00124222)
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Keywords | 細胞周期 / 卵細胞 / MPF / サイクリンB-Cdc2 / Greatwallキナーゼ |
Research Abstract |
MPF(maturation/M phase-promoting factor、卵成熟/M期促進因子)は真核細胞に普遍的なM期誘起因子であり、cyclin B-Cdc2複合体(Cdc2と略記)と同義であるとされている。しかしヒトデ卵においては、除核した場合、Cdc2は正常に活性化するにもかかわらず、MPF活性は検出されない。このMPFとCdc2との不一致が何に起因するのか、つまり、Cdc2以外に、核(卵核胞、GV)由来でMPFに必須の因子(GV因子)の分子本体を突きとめることが本研究の目的である。 前年度の研究により、GV因子の分子実体はGreatwall kinase(Gw1)であり、「MPF=Cdc2+Gw1」との結論を得た。そこで本年度は、Gw1がMPF活性にどのように貢献するのかを解析し、以下の点が判明した。 (1)ヒトデ未成熟卵に微小注射して被注射卵でGVBD(M期開始)が起こるかを検定(MPF assayと省略)した場合、精製Cdc2だけでも、大過剰量を注入すればM期開始を誘起できる。ところが、これに生理的な濃度でGw1を加えると、必要なCdc2量が1ケタ下がり、ほぼ生理的な濃度で十分となった。 (2)同様の定量的解析を、アフリカツメガエル未成熟卵を用いて実施した。この卵ではGw1は細胞質局在であるにも拘わらず、Gw1はやはり、MPF assayに必要なCdc2活性量を1ケタ減少させた。 (3)Cdc2の活性化経路についてはautoregulatoryloopが知られており、活性型Gw1の添加は、このloopの回転を促進し、それによってCdc2の必要量を下げていると解釈される。 (4)ヒトデ除核卵では、Gw1が存在しないにも拘わらず、ホルモン処理によってCdc2は正常に活性化する。その理由の解明が、今後の課題として浮上した。
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Research Products
(9 results)
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[Book] Oogenesis : The Universal Process, Chap. 14 : Cytostatic arrest : Post-ovulation arrest until fertilization in metazoan oocytes(Verlhac, M.H. and Villeneuve, A., eds.)2010
Author(s)
Nishiyama, T., Tachibana, K., Kishimoto, T.
Total Pages
501
Publisher
Wiley-Blackwell, UK
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