2010 Fiscal Year Annual Research Report
鱗翅目昆虫と寄主植物の関係を決定する遺伝子群とその機能
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21248006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 透 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20202111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大門 高明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (70451846)
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Keywords | カイコ / 食性 / 2次代謝物質 / フラボノイド / アルカロイド / スクラーゼ / イチジクカサン / カイコガ科 |
Research Abstract |
カイコBombyx moriは、桑葉のみを食餌とする単食性の昆虫である。桑葉にはデオキシノジリマイシンなどの糖類似アルカロイドが多量に含まれており、通常の動物には毒性を示す。カイコは、β-フルクトフラノシダーゼを中腸で大量発現することにより、桑葉を食餌として栄養を摂取できるようになった、という仮説を検証するため、カイコに近縁でありながらクワは食わずにイチジクを寄主とするイチジクカサンTrilocha varians(カイコガ科)のスクラーゼ遺伝子について解析を進めた,イチジクカサンのβ-フルクトフラノシダーゼ遺伝子はカイコと相同性が高いにもかかわらず、発現量が非常に少ないことが判明した。 一方、カイコのマルターゼ型スクラーゼ(α-グルコシダーゼ)の遺伝子を探索したところ、ショウジョウバエのLarval visceral protein Hなどに相同性を示す3つの遺伝子が幼虫中腸で発現していることが判明した.いずれの発現量もβ-フルクトフラノシダーゼ遺伝子(BmSuc1)よりも低レベルであり、カイコの中腸スクラーゼの主成分はα-グルコシダーゼではなく、β-フルクトフラノシダーゼであると予想された。 また、カイコの笹繭系統は、桑葉中に含まれるフラボノイドの一種、ケルセチンの5位にグルコースが結合した特殊な配糖体を合成し、繭層に蓄積させて虫体を紫外線から防護する。カイコの桑フラボノイドの利用機構の解明へ向けて解析を進るため、昨年度クローニングしたGb(緑繭b)遺伝子以外に、別の笹繭遺伝子についてもゲノム塩基配列上にマッピングした。
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[Presentation] カイコのフラボノイド繭の分子基盤2010
Author(s)
大門高明(1), 平山力(2), 勝間進(1), 嶋田透(1)((1)農学生命科学研究科、(2)農業生物資源研究所)
Organizer
第10回東京大学生命科学シンポジウム(Todai BIO 2010)
Place of Presentation
東京大学安田講堂/工学部2号館
Year and Date
2010-05-01
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