2011 Fiscal Year Annual Research Report
イソキノリンアルカロイド生合成系の分子解剖と再構築
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21248013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 文彦 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10127087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 博道 石川県立大学, 生物資源工学研究所, 助教 (90433200)
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Keywords | 薬用植物 / 植物バイオテクノロジー / 代謝工学 / 合成生物学 / イソキノリンアルカロイド / 生理活性のスクリーニング |
Research Abstract |
植物のもつ極めて多様な二次代謝産物、特に、その生理活性が顕著であるアルカロイドに焦点を絞り、代謝工学ならびに合成生物学的手法により、同生合成系の分子解剖と再構築を行うことを目的に以下の研究を行った。I)合成生物学的手法を用いた多様なイソキノリンアルカロイド生合成系の分子解剖:ベンゾフェナンスリジン型アルカロイド生合成系、特に、protopineの生合成に関与すると考えられるP450 cDNAの機能解明を引き続き行なった。候補遺伝子を酵母発現系を用いて解析した結果、予測したprotopine合成酵素ではなく、protopine 6-hydroxylaseであることが判明した。引き続き、新たな候補遺伝子の探索を行っている。II)包括的転写因子を用いたイソキノリンアルカロイド生合成系の解析:CjbHLH1と相互作用する因子を単離することを目的に、CjbHLH1とGFPの融合タンパク質遺伝子を導入したハナビシソウ培養細胞を確立した。また、ハナビシソウ自身のCjbHLHIホモログ遺伝子(EcbHLH1-1,EcbHLH1-2)を単離し、その構造と発現を解析し、それぞれが、組織特異的に発現していること、また、ジャスモン酸応答性を示すことを明らかとした。III)微生物異種発現系を用いたアルカロイド生合成系の再構成と代謝工学:ドーパミンと様々なアルデヒドとのカップリング反応を触媒するNCSの基質特異性を検討することで、テトラヒドロイソキノリン構造を有する新規化合物の合成を検討した。その結果、芳香族および脂肪族側鎖をもつケト酸をカルボニル供与体とすることが明らかになった。IV.新規アルカロイドの生理活性評価:ベルベリンの類縁化合物を用いて、線虫における脂質蓄積抑制活性評価を行い、ベルベリンよりも抑制活性は低いが、より生存活性への影響が小さい化合物を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
I)合成生物学的手法を用いた多様なイソキノリンアルカロイド生合成系の分子解剖において、当初予定していたprotopine合成酵素の単離に手こずっているが、II)包括的転写因子を用いたイソキノリンアルカロイド生合成系の解析、III)微生物異種発現系を用いたアルカロイド生合成系の再構成と代謝工学、IV.新規アルカロイドの生理活性評価等、ほぼ、予定通りに研究を実施するとともに、CjbHLH1ならびにprotopine 6-hydroxylaseに関する原著論文等7編、また、5件の招待講演を含む12回の学会発表を行う等の成果から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度において、イソキノリンアルカロイド生合成系ネットワークの分子解剖をより精緻に行うとともに、その再構築を拡大する。特に、異種遺伝子の導入により代謝の可塑性が増幅されることから、より積極的な遺伝子導入による代謝系改変の解析を行う。
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Research Products
(21 results)