2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21248016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内田 浩二 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (40203533)
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Keywords | 脂溶性リガンド / プロテオミクス / センサー分子 / 分子プローブ / 受容体 / イソチオシアネート / Toll様受容体 / 共有結合修飾 |
Research Abstract |
生物は様々な脂溶性化合物に曝されており、これらの化合物は健康や寿命に大きく影響しているものと考えられる。こうした化合物には、環境中の様々な有機化合物だけでなく、ポリフェノールやイソチオシアネート化合物などの機能性食品成分、酸化ストレスにおいて生成される酸化脂肪酸なども含まれる。こうした脂溶性化合物は、細胞膜あるいは細胞内受容体に作用し、受容体刺激による適応応答の誘導に関与することが明らかとなってきている。例えば、PPARgの天然リガンドとして様々なアラキドン酸代謝産物が同定されているが、これらのリガンドは、脂肪細胞分化やマクロファージ泡沫化抑制などの活性を示す。しかし、食品素材に含まれる脂溶性化合物の多くは、その活性発現機構などについて、ほとんどが未解明のままである。 本年度は、自然免疫における異物の認識に不可欠なToll様受容体 (TLR) の中でも細胞膜上に発現しているTLR2およびTLR4に焦点を当て、TLRシグナル伝達経路を抑制する食品成分の探索を行うため、評価系の構築を行った。HEK293細胞に、TLRおよびその下流に位置する転写因子NF-kBのルシフェラーゼレポーター遺伝子を共導入した安定発現細胞を樹立した。このTLR2およびTLR4安定発現細胞株に、それぞれTLR2リガンドであるPam3CSK4およびTLR4リガンドであるLPSを投与したところ、それぞれの投与濃度依存的にNF-kBの活性化が認められた。このことから、樹立した細胞株は、TLRの活性化を評価する上で有用であることが確認された。この細胞株を用いて24種類の野菜抽出物についてTLR抑制活性を測定したところ、いくつかの野菜抽出物に阻害活性が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TLR阻害活性を評価できるスクリーニング系を確立し、実際に野菜抽出物における活性評価を実施しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングの結果、阻害活性の認められた野菜抽出物に焦点を当て、その阻害活性を担う化合物を同定する。具体的には、野菜の酢酸エチル抽出物を高速液体クロマトグラフィーにより活性化合物を単離・精製し、NMRなどを用いて化学構造を明らかにする方針である。
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