2012 Fiscal Year Annual Research Report
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21248016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内田 浩二 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (40203533)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 脂溶性リガンド / プロテオミクス / センサー分子 / 分子プローブ / 受容体 / イソチオシアネート / Toll様受容体 / 共有結合修飾 |
Research Abstract |
生物は様々な脂溶性化合物に曝されており、これらの化合物は健康や寿命に大きく影響しているものと考えられる。こうした化合物には、環境中の様々な有機化合物だけでなく、ポリフェノールやイソチオシアネート化合物などの機能性食品成分、酸化ストレスにおいて生成される酸化脂肪酸なども含まれる。こうした脂溶性化合物は細胞膜あるいは細胞内受容体に作用し、受容体刺激による適応応答の誘導に関与することが明らかになってきている。例えば、PPARgの天然リガンドとして様々なアラキドン酸代謝産物が同定されているが、これらのリガンドは、脂肪細胞分化やマクロファージ泡沫化抑制などの活性を示す。しかし、食品素材に含まれる脂溶性化合物の多くは、その活性発現機構などについて、ほとんどが未解明のままである。 前年度に樹立した細胞を用いて、TLR阻害活性を有する野菜抽出物についてスクリーニングを行ったところ、キャベツ抽出物に強い抑制活性が認められた。そこでキャベツ酢酸エチル抽出物をHPLCにより分画し活性物質の単離を行い、NMRおよびマススペクトロメトリーによる解析を行った結果、阻害活性化合物としてイソチオシアネート化合物であるIberinを同定した。さらに、Iberinの作用機構について解析を行ったところ、Iberinは、TLRとリガンドとの結合を阻害することなくTLRの二量体化を阻害することで下流シグナル経路を阻害している可能性が示唆された。また、イソチオシアネート化合物は、タンパク質中のチオール基と容易に反応することが知られている。そこで、末端にアルキンの付加したIberinを作製し、Click chemistryを用いてIberinとTLRの相互作用についての検討を行った結果、IberinがTLRに結合することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TLRシグナリングの抑制物質として、キャベツからIberinを同定することに成功し、さらにその阻害メカニズムの解明をしつつあり、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的なTLRの結合部位の同定にまでは至っていないことは、今後の推進方策の中でも最重要課題と言える。高分解能マススペクトロメトリーなどの最先端技術を用いた解析を必要とする。
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Research Products
(4 results)