2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模操作実験と地理的環境勾配を用いた令温帯林生態系機能の地理分化の解明
Project/Area Number |
21248017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
日浦 勉 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70250496)
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Keywords | 地理変異 / 温暖化実験 / 光合成 / 植食性昆虫 / 窒素循環 |
Research Abstract |
1、苫小牧研究林と蒜山においてコナラ成木の林冠部をオープントップチャンバーで5度程度温暖化処理し、光合成能の温度順化と食害応答を実験的に調べた。20度での光合成速度は温暖化処理によって変化しなかったが、25度での光合成速度とVcmaxは温暖化処理によって上昇した。またVcmaxの励起エネルギーは温暖化処理によって上昇し、光合成最適温度と正の相関を示した。これらのことから生育温度条件によって光合成を最適化させていることが明らかとなった。一方コナラの食害応答には緯度勾配が見られた。高緯度の苫小牧では温暖化により林冠部の葉の食害は28%減少したが、一方低緯度の蒜山では温暖化により林冠部の葉の食害は84%減少した。つまり、高緯度に比べて低緯度のコナラの方が温暖化に対する食害応答がより大きいことが明らかになった。 2、苫小牧研究林のミズナラ地下部を電熱線で5度程度温暖化処理し、土壌の窒素動態を調べた。温暖化処理によって土壌凍結がなくなり、冬期の有機体、無機体窒素のプールが減少した。夏から秋にかけて温暖化処理によってアンモニアのプールも減少した。これらのことは、これまで土壌凍結が起こらない他の地域で行われてきた温暖化処理実験の結果とは異なり、土壌凍結の有無によって温暖化影響が大きく異なることを示している。 3、分布北限に当たる黒松内と南限域の椎葉においてタワー観測を行っているブナの材を採取し、解剖学的特性を比較解析した。道管径、密度ともに、椎葉と黒松内で違いはなかったが、染色された道管の結果を比較すると、椎葉では全道管に対して染色された道管が樹幹内部でも多く見られるのに対して、黒松内の方は樹幹の外側から中に向かうにつれて少なくなっていた。樹液流計測のプロファイル結果でも、椎葉の方が樹幹内部の流速の寄与が比較的大きく,傾向が対応していた。
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[Presentation] Does warm temperature drive interannual variation of seed production in Quercus crispula?2012
Author(s)
Miyazaki, Y., Kon, H., Muller, O., Nakamura, M., Nakaji, T., Satake, A., Hiura, T.
Organizer
Proceedings of ESJ59
Place of Presentation
龍谷大学瀬田キャンパス(大津市)
Year and Date
2012-03-20
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