2011 Fiscal Year Annual Research Report
木質構造物の腐朽等による強度劣化ならびに崩壊過程シミュレーション手法の開発
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21248021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 正光 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20126006)
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Keywords | 腐朽 / 強度低下 / X線CTスキャナー / 密度減少 / 木質構造体 / シミュレーション / 腐朽異方性 / 収縮 |
Research Abstract |
本研究は木材の腐朽過程をコンピュータ上でシミュレートし、さらに腐朽により強度低下した構造部材が、外力により破壊する過程をもシミュレートすることを最終目的としている。研究を開始して木材中の腐朽過程を詳しく追跡した研究がほとんどないことが判明したので、本年度も前年度に引き続き腐朽進行過程の3次元的異方性を明らかにする実験を主として行った。木材のL,R,T方向それぞれに長いスプルースの角柱小試験体に対して、劣化試験チャンバーで強制腐朽試験を行い、X線CT装置で腐朽前後の密度変化を追った。CT値より出来るだけ正確な密度の値に補正する方法を確立した。これより繊維方向の腐朽速度が半径方向、接線方向と較べて非常に速いこと、また、年輪内では早材より晩材部の方が密度低下率が大きいことが判明した。また、腐朽の進行とともに木材の収縮率が大きく変化していることが明らかになった。X線CT装置で乾燥時の寸法変化を3次元的に視覚化できた。 3次元での腐朽進行パターンを、取り敢えず現行の密度低下から簡易換算した強度データで置き換えて、要素の強度マトリックスを作成し、腐朽の進行した角柱がどのように破壊する可能性があるのか、圧縮破壊を例として、有限要素法によって解析することも開始した。また、腐朽した材は非常にもろくなることが知られているが、とくに腐朽したボルト接合部などに捻り力を加えると簡単に壊れてしまう。この外力様式に関しては健全材でのデータがそもそもないので、両端にボルトを通した棒の捻りに関しても実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
木材の異方性軸方向別の腐朽進行経過を密度の低下として実験的に求めることができた。これは今年度主たる目標としたことである。
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Strategy for Future Research Activity |
X線CTで得られる画像から、腐朽の進行状況を異方性の方向別に密度変化として捉えることはほぼ出来たが、強度と密度との間の関係はまだ確立されていない。特に、密度減少量から推測されるよりも大きな強度低下がある場合は危険側に評価される可能性が有り、問題となる。このあたりに焦点を絞っていく。また、数値シミュレーションのアルゴリズム開発にも力を入れる予定である。
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Research Products
(4 results)