2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノミクス情報を活用したブタの飛躍的改良を目指した育種システムに関する研究
Project/Area Number |
21248031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 啓一 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 教授 (10344706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 卓郎 琉球大学, 農学部, 教授 (90160407)
小林 栄治 独立行政法人家畜改良センター, 技術部, 課長 (00186727)
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Keywords | ブタ / ゲノミクス / QTL解析 / 育種システム / MAS |
Research Abstract |
本研究は、ブタの産肉、肉質形質など量的形質を支配する遺伝子座(QTL)を特定するため、国内で行われている系統造成のブタを対象とした純粋種でのQTL解析を行い、その結果得られるゲノム情報を純粋種の改良にそのまま利用するマーカーアシスト選抜法(MAS)により、従来以上に飛躍的に改良効率を高められるブタの系統造成システムの開発を目的とする。 今年度は、一日平均増体量(DG)、ロース断面積(EM)、皮下脂肪厚(BF)と筋肉内脂肪(IMF)を選抜形質として7世代にわたり選抜されたデユロック種系統豚約1000頭から採材したDNAを用い、19対の染色体上にUSDAで開発されたマーカーと独立行政法人家畜改良センターで開発されたMSマーカー計124個を配置し、QTL解析を行った。はじめにCRI-MAPを用いて連鎖地図を作成し、SOLARプログラムによりQTL解析を行った。 98の形質に関するQTL解析の結果、33の形質についてlodスコアが2.54以上の統計的に有意な領域が特定された。この中で、第6番染色体上には8週齢時、105kg時の背脂肪厚、レプチン濃度、枝肉切断面脂肪面積割合についてほぼ同じ位置にQTLが検出され、脂肪蓄積に関する重要な遺伝子の存在が示唆された。また、第14番染色体には、筋肉内と背脂肪外層の脂肪酸C18:0とC18:1について有意な領域が検出された。さらに、第13番染色体上には、IMFに関する有意なQTLが検出された。純粋種についてこれほど多くの形質についてのQTL解析は世界でも初めてであり、特に、脂肪蓄積と脂肪酸組成に関するQTLがそれぞれほぼ同じ領域に検出されたため、今後、これらの領域のファインマッピングを行うことで遺伝子の特定が可能と考えられ、この情報を活用した純粋種の育種改良に利用できる可能性が出てきた意義は極めて大きい。
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Research Products
(1 results)