2009 Fiscal Year Annual Research Report
内胚葉形成因子SOX17の肝臓、胆管、膵臓発生における役割
Project/Area Number |
21248034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 克晃 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30260326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多屋 長治 (財)東京都医学研究機構, 実験動物研究部門, 研究員 (90175456)
恒川 直樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50431838)
九郎丸 正道 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00148636)
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Keywords | SOX17 / 肝臓 / 膵臓 / 胆管 / マウス |
Research Abstract |
肝臓、膵臓、胆嚢・胆管の起源は、器官形成の初期において、原始腸管の前腸の腹側後方の一部分が伸び出すことにより発生します。肝臓と膵臓の原基は、心臓原基と隣接する横中隔からのシグナル因子により前腸の正中腹側領域から生じることが示され、その分化の制御機序についても精力的な解析がなされ多くの知見が蓄積してきています。しかし、残りの胆嚢・胆管の形成機序については、前腸からの特異化およびその前駆細胞の分化の制御機序など、ほとんど理解されていません。私たちは、内胚葉への初期分化の過程でSox17が一過性に発現した後、前腸組織の胆嚢・胆管原基においてSox17が再び活性化し、後の分化ステージまで胆嚢領域でSox17を発現、維持していることが分かっていました(Matsui et al.,J Cell Sci,2006)。この胆嚢特異的なSox17の再活性化は、内胚葉由来の胆嚢の形成・発達においても重要な機能を担っていることを示唆しています。そこで、我々は、マウスの胆嚢・胆管原基の初期決定における詳細な発現解析を行いました。前腸領域での最初のSox17の発現は、左右の前腸門の外側後方(管状化する前のシート状の前腸内胚葉層)の部位で起こることを見いだしました。その後、腸管形成に伴い、Sox17陽性の前駆細胞の集団は、腹側・正中方向へと仲展・移動し、管腔の構築後には腹側正中線に沿って肝臓と膵臓間の胆嚢・胆管予定領域にすっぽり収まることが判明しました。また、胆嚢・胆管予定領域でのSox17の発現開始時期(8.25dpc)は、肝臓や膵臓の前駆細胞の分化誘導(マーカー遺伝子の発現)とほぼ同時であると判明した。以上の結果は、胆嚢・胆管、肝臓、膵臓の3つの予定領域は、ほぼ同時に決定することを初めて示唆するものです。
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Research Products
(5 results)