2010 Fiscal Year Annual Research Report
内胚葉形成因子SOX17の肝臓、胆管、膵臓発生における役割
Project/Area Number |
21248034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 克晃 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30260326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多屋 長治 財団法人東京都医学研究機構, 実験動物研究部門, 室長 (90175456)
恒川 直樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50431838)
九郎丸 正道 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00148636)
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Keywords | SOX17 / 肝臓 / 膵臓 / 胆嚢 / 胆管 / マウス |
Research Abstract |
胆嚢・胆管の起源は、肝臓、膵臓原基と同様に、原始腸管の前腸の腹側後方の一部分が伸び出すことにより発生する。我々は、マウスの胆嚢・胆管原基の初期決定における詳細な発現解析を行った。前腸領域での最初のSox17の発現は、左右の前腸門の外側後方の部位で起こることを見いだした。その後、腸管形成に伴い、Sox17陽性の前駆細胞の集団は、腹側・正中方向へと伸展・移動し、管腔の構築後には腹側正中線に沿って肝臓と膵臓間の胆嚢・胆管予定領域にすっぽり収まることが判明した。また、胆嚢・胆管予定領域でのSox17の発現開始時期は、肝臓や膵臓の前駆細胞の分化誘導とほぼ同時であると判明した。本結果は、胆嚢・胆管、肝臓、膵臓の3つの予定領域は、ほぼ同時に決定することを示す。さらに、我々は、マウスの胆嚢・胆管原基の初期決定における機能解析を行った。Sox17欠損マウスでは、初期胚の前腸内胚葉の細胞数の不足により、胆嚢・胆管の予定領域を含む前腸の左右の外側内胚葉領域が欠失する。このために、Sox17欠損胚は、胆嚢・胆管の形成不全を呈することを見出した。Sox17欠損ES細胞とのキメラ解析により、Sox17欠損内胚葉細胞は、前腸の左右の外側内胚葉領域への寄与率は著しく低いことが示された。さらに、まれに寄与した少数のSox17欠損細胞において、胆嚢・胆管マーカーの発現が特異的に消失しており、胆嚢・胆管前駆細胞への自律的な分化能が欠失していることが判明した。本結果は、胆嚢・胆管前駆細胞の決定は、正中部位から外側にかなり外れた前腸後端部(左右一対)で、肝臓、膵臓の決定と同時に(おそらく独立的に)起こり、腸管の管状化の形態形成の力により、本来の位置である肝臓と膵臓の間にソーティングされることが明らかとなりました。本研究は、肝臓、膵臓を十二指腸へと繋ぐ胆管システムの形成機序の大きな理解につながると考えています。
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Research Products
(6 results)