2009 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的な位置選択的官能基化を基盤とする精密有機合成
Project/Area Number |
21249001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川端 猛夫 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (50214680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 巧 京都大学, 化学研究所, 准教授 (30336656)
吉村 智之 京都大学, 化学研究所, 助教 (20432320)
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Keywords | 位置選択性 / ポリオール / アシル化 / リン酸化 / 動的分子認識 |
Research Abstract |
我々は2007年にグルコース誘導体の位置選択的アシル化を発表した。この方法はグルコース誘導体の4つの水酸基の内、反応性の低い2級水酸基上で排他的に反応を起こし、基質本来の反応性とは独立したほぼ完全な触媒主導の選択性を発現できる点が従来法にはない特徴である(JACS. 2007, 129, 12890)。しかしこの触媒的位置選択的選択的アシル化は、これまでグルコース誘導体の単純アシル化(イソブチリル化、アセチル化)に限られており、応用性に問題があった。21年度はこの位置選択的アシル化の一般性獲得と天然物合成に向けた研究を行い、アシル化剤として官能基を持つアミノ酸由来の酸無水物を用い、4位選択性が高度に保持されたグルコースへのアミノ酸導入法の開発に成功した。次に配糖体天然物に多く見られるシンナモイル基やガロイル基の直接導入を念頭に、位置選択的なシンナモイル化及びガロイル化を達成した(JOC. 2009, 74, 8802)。また、このグルコピラノースの4位選択的アシル化を鍵工程とし、6位、2位、3位に何れの段階も99%以上の位置選択性で順次保護基を導入する方法を確立し、グルコピラノースの四つの水酸基に異なる保護基を持つ糖鎖合成中間体を得た。本化合物は任意に脱保護でき、糖鎖合成に有用な保護モノオール類を得た。またこれらを中間体として種々のアジド糖、トリアゾール糖、チオ糖、及び希少糖など、天然型、および非天然型の多糖類の合成に中間体を得た(Eur.J.Org.Chem.2010, 5, 827-831)。以上の成果をもとに、ガロイル基やシンナモイル基を持つ配糖体天然物の全合成研究に着手した。
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