2011 Fiscal Year Annual Research Report
プリン性化学伝達の出力装置の構造・機能と生理的意義
Project/Area Number |
21249005
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森山 芳則 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10150658)
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Keywords | 生化学 / 化学伝達 / トランスポーター / プリン作動性 / ATP / ノックアウトマウス / 神経 / アストロサイト |
Research Abstract |
VNUTはプリン性化学伝達の出力機構を解明する強力で唯一の膜分子である。本研究により、VNUTの構造・輸送と制御の分子機構・生理的意義を統合的に解明し、プリン性化学伝達の全体像を明らかにすることを目的とした。サブテーマならび成果を記す。 1.結晶構造を解析する。これまでの収率を100倍向上させた大腸菌による大量発現・精製系を構築し、数十mgのほぼ純粋な機能を維持したVNUTを調製した。この標品を用いて現在数千の条件で結晶作成を実施、現在、構造解析を進めている。イスラエルとの共同研究として実施している。 2.輸送と制御の分子機構を生化学的に解明する。塩素イオンの結合部位に近傍に蛍光団を導入しenergy transferが起こる事を実証した。現在、この現象をもとにVNUTの機能単位(3量体ないし4量体)を決定中である。また、VNUTが二価金属イオンを輸送することを実証した。ヌクレイチドと二価金属イオン複合体を基質として認識するためである。VNUTはmultivalent anionを基質とする始めてのトランスポーターである。 3.ATP分泌細胞と蓄積顆粒を同定、その分泌機構を解明する。新たに血液系細胞やケラチノサイトがATP分泌細胞であることを実証した。その生理的意義も一部明らかにした。 4.活性調節剤を開発する。ケトン体は塩素イオン結合部位において塩素イオンの親和性を低下させ、結果として可逆的にVNUTを阻害する。アセト酢酸は培養した神経からのATP分泌を阻害する。すなわち、アセト酢酸はプリン性化学伝達を、可逆的に元から断つことができる(Neuron2010)。さらに、この実験系を改良して、アセト酢酸よりも10倍程度in vivoにおいても有効な調節剤を開発した。 5.ノックアウトマウスを作製し、ATP分泌の生理的意義を解明する。構築した。複数の表現系を見いだした。 現在論文を投稿中である。
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Research Products
(6 results)