2011 Fiscal Year Annual Research Report
エンハンサー選択とエンハンサー変換による副腎皮質の形成機構
Project/Area Number |
21249018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
諸橋 憲一郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 主幹教授 (30183114)
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Keywords | 副腎皮質 / エンハンサー / クロマチン構造 / ヒストン |
Research Abstract |
副腎皮質細胞ではステロイドホルモン産生に関わる種々の遺伝子が発現することで、糖質コルチコイドや電解質コルチコイドを産生、分泌する。このような遺伝子の発現は副腎皮質に特異的であり、副腎皮質に特異的な発現を示す転写因子Ad4BP/SF-1の制御を受けている。一方、Ad4BP/SF-1は精巣や卵巣においても発現し、同様にステロイドホルモンの産生に関与する遺伝子の発現を制御している。このように、Ad4BP/SF-1は数種の特徴的な細胞で発現することで、それらの細胞の特異性を担保するが、我々はこれらの発現が異なるエンハンサーによって制御されていることを明らかにしてきた。このように、一つの遺伝子内に複数のエンハンサーが存在し、これらのエンハンサー異なる細胞における発現を制御しているとの結果は、細胞分化の過程でそれぞれの細胞がエンハンサーを選択していることを意味する。そこで、本研究では副腎皮質細胞におけるエンハンサーの構造、ならびにエンハンサーの機能を発揮する上でキーとなる転写因子Ad4BP/SF-1がどのような領域に結合しているかについて、次世代シークエンサーを用いた実験を行うことで、全ゲノムレベルでの解析を行った。その結果、副腎皮質細胞ではヒストン3の27番目のリジン残基がアセチル化されるようなエンハンサーマークをもつ、2万を越える領域が確認された。これらの領域のうちAd4BP/SF-1が結合している領域は約7千カ所であった。同時に、トランスクリプトーム解析によって、活性化されている遺伝子を調べたところ、活性化されている多くの遺伝子内に上記のエンハンサーが存在することが明らかになった。以上の結果から、次世代シークエンサーを用いたエンハンサー解析が可能であるとの結果を得ることができた。また、これらの解析を通じ、Ad4BP/SF-1が解糖系遺伝子などの細胞内代謝に関与する遺伝子の転写制御に関わっていることが示された。このことは、組織特異的転写因子がハウスキーピングな細胞機能を制御するとの新たな発見につながった。
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[Journal Article] Cbx2, a polycomb group gene, is required for Sry gene expression in mice2012
Author(s)
Y. Katoh-Fukui, K. Miyabayashi, T. Komatsu, A. Owaki, T. Baba, Y. Shima, T. Kidokoro, Y. Kanai, A. Schedl, D. Wilhelm, P. Koopman, Y. Okuno, K. Morohashi.
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Journal Title
Endocrinology
Volume: 153
Pages: 913-924
Peer Reviewed
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