2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21249030
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮田 真人 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50209912)
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Keywords | マイコプラズマ / 滑走運動 / 滑走装置 / 電子顕微鏡 / 分子形態 / 高速AFM / 協同性 / シアル酸オリゴ糖 |
Research Abstract |
最速種であるMycoplasma mobileについて,以下の成果を得た.(1 : 構造)二種類の滑走タンパク質,Gli349とGli521の水中での挙動を高速AFMで詳細に解析した.また,菌体上の滑走装置の構造を従来よりも高解像度にて解析した.宿主免疫から逃れるために菌体の表面に存在するタンパク質,Mvsplの構造を電子顕微鏡で明らかにし,滑走の"あし"タンパク質,Gli349との比較を行った.(2 : ATP加水分解反応)単離した滑走装置である"滑走ヘッド"のATP添加による滑走運動を解析することで,ATP加水分解反応と"あし"の動きを対応づけた.(3 : シアル酸オリゴ糖の結合)遊離のシアル酸オリゴ糖による滑走の阻害を詳細に解析し,"あし"のシアル酸オリゴ糖への結合と動きには協同性があること,解離の際には引きずり力を発生していることを明らかにした.光ピンセットを用いて菌体を前後方向のそれぞれに引きはがすことで,菌体のシアル酸オリゴ糖の結合に極性があることを明らかにした.(4 : 作業仮説)上記で得られた知見をもとに,滑走メカニズムを説明する作業仮説を更新した.(5 : 遺伝子操作)これまで形質転換がうまくいっていなかった原因を解析,解決し,さらにベクターの改善を行った.(6 : 結晶構造解析)Mycoplasma mobileとヒト病原菌であるMycoplasma pneumoniaeの滑走運動に直接かかわるタンパク質の遺伝子を合成し,大腸菌で発現させた.それらを精製することで得たタンパク質2種類について,結晶化に向けた条件検討を行った.
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