2011 Fiscal Year Annual Research Report
I型IFNs依存性造血幹細胞統御による新規疾患治療法の創成
Project/Area Number |
21249033
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
樗木 俊聡 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50233200)
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Keywords | HSC / IFN / ウィルス感染 / CML / 骨髄移植 / 先天性代謝異常症 |
Research Abstract |
昨年度の研究実績を踏まえ、本年度は、特にI型IFNsあるいはその誘導剤を用いた新しい白血病治療法および骨髄移植法の開発に繋げることを目的として研究を推進し、以下の成果を得た。 1)ウィルス感染によるHSC細胞周期進展と生物学的意義 ウィルス感染により、細胞周期が進展するHSCと、細胞周期が静止期のHSCが存在することを見出した。 さらにI型およびII型IFN受容体二重欠損マウスでは、HSCの細胞周期進展が認められず、かつHSCにウィルスが感染することが判明した。従って、ウィルス感染時に生産されるIFNは、造血系の回復・維持とHSC自身のウィルス抵抗性獲得に重要であることが示唆された。 2)慢性骨髄性白血病治療法の確立 本年度は、慢性骨髄性白血病(CML)モデルを用いて治療法の確立を目指した。移植後10~24日にイマチニブ(IM)を投与、イマチニブ投与開始後3,10日目にIFNの誘導剤であるpoly(I:C)を投与する治療法を試行し、その後IM投与中止によるのCMLの再発について検討した。その結果、IM単独投与群ではCMLが再発したが、IMとpoly(I:C)の併用投与群では再発の頻度が明らかに減少した。併用投与群ではCML幹細胞の頻度も有意に減少しており、再発率の低下の要因と考えられた。同様の効果は、IMとIFN-αの併用投与群でも観察された。 3)新規骨髄移植法の開発と疾患治療への応用 本年度は、昨年度までに確立した副作用の少ない骨髄移植法を用いて先天性代謝異常症(ムコ多糖症VII型、β-グルクロニダーゼ酵素欠損)の治療を試みた。その結果、病状の改善(同酵素の部分的回復および組織グリコサミノグリカン蓄積の軽減)が観察され、同治療法の有効性が確認された。
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Research Products
(33 results)