2009 Fiscal Year Annual Research Report
血中全蛋白MRM・MS解析とマイクロRNA網羅解析の革新と難治癌病態診断への応用
Project/Area Number |
21249037
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 隆 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50231395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 聖 名古屋大学, 高等研究院, 特任講師 (20372112)
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Keywords | 分子診断 / 網羅的発現解析 / プロテオミクス / マイクロRNA |
Research Abstract |
本研究は、血液中に存在する蛋白とマイクロRNAの網羅的かつ選択的な定量的発現解析を可能とする技術的基盤を確立し、膵臓癌などの難治癌を対象にその早期発見による治癒率向上を可能とする革新的分子診断法を開発することを目的として計画した。そのために、本年度はまず血液中からのマイクロRNAの抽出法の最適化を行い、最終的には100μ1から高品位なマイクロRNAを含有する40-100ngのRNAを抽出できるプロトコールを確立した。また、TaqManプローブを貼付した低密度アレイを用いた定量的RT-PCR法の実験条件の最適化を進めることによって、当初200ngを要した解析を6ngという極微量を用いて解析可能とすることに成功した。これらの条件を用いて健常者血清におけるマイクロRNAについて詳細な検討を加えて、健常者血清中で検出限界以下のマイクロRNAのカタログ化を図った。 血清中に存在する蛋白に関する網羅的な定量発現解析に関しては、三連四重極型MS装置を用いたMRM法を応用して、血液中マーカータンパク質の精密検出法を確立する目的で、本年度は、開発ワークフローの最適化を進めた。膵癌細胞株試料より抽出したタンパク質試料を酵素消化後、安定同位体標識したレポーター試薬(iTRAQ試薬)を用いて標識化し、タンデム型MSを用いた解析により、約1000種類のタンパク質に関する発現・構造情報を取得した。それらの情報を基にして、発現量の異なる(高濃度、中等度)タンパク質を対象に、MRM解析に必要なチャンネル設定を行い、精密定量解析の条件設定の最終調整まで進めた。その過程においてiTRAQ標識を加えることによる検出感度向上が確認され、結果的に定量精度の向上にもつながることが明らかとなった。
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