2010 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病のすべてがわかる和漢薬:発病機序の分子的解明から新規抗うつ薬開発まで
Project/Area Number |
21249047
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
東田 道久 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 准教授 (20207525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 かつ子 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (50225570)
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Keywords | 補中益気湯 / 学習性無気力動物 / セロトニン2C受容体 / ツメガエル卵母細胞 / MRI / BNIP-3 / 十全大補湯 / 3D-HPLC |
Research Abstract |
和漢薬の治療概念に基づいてうつ病を細分類し、その関連する生体内分子の発見と対応する治療薬の開発をめざして本研究を立ち上げた。1)前年度にモデル動物により抗うつ効果を実証した「補中益気湯」は、10種の生薬から構成されるが、その内「十全大補湯」と共通する5種(共5)の生薬群は中枢作用を、残る5種の生薬群(特5)は消化器系への作用を主としているのではないかとの仮説の基、種々の実験を行った。NG108-15細胞の抗うつ薬慢性処置はBNIP-3 mRNA発現を増大することを報告している。補中、十全、共5はその作用を示したが、特5は無効であった。共5構成生薬の内、甘草に強い作用が認められたが、グリチルリチンは無効であった。甘草に竜骨・牡蠣を加えて抽出したところ、上記の作用は弱まった。HPLCによる分析より、竜骨・牡蠣を加えることにより抽出効率が変化する成分が認められた。現在それを単離し、同定を試みるとともに、作用との関連性も調べている。一方、特5の構成生薬の内、升麻に5-HT2C受容体活性化作用があることを前年度に示したが、その有効成分の1つをHPLCで分離し、分子量は283であることが推定できた(現時点では未同定)。升麻にはマウス摘出腸管収縮作用もあることを新たに見出した。2)うつを治するに際し、補中とは和漢薬の治療概念が異なる「桂枝加竜骨牡蠣湯」ならびに「柴胡加竜骨牡蠣湯」の効果について、細胞での遺伝子発現変化を指標に検討し、いくつかの細胞内因子の発現変化を検出した。その詳細については引き続き検討を加えている。3)補中感受性のヒト脳でのfMRIデーターを得た。それを基に、今後のMRIを用いた研究方針の検討を行っている。
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