2009 Fiscal Year Annual Research Report
双生児法を用いた統合失調症脳病態に対する遺伝・環境要因の解明
Project/Area Number |
21249064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠井 清登 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 教授 (80322056)
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Keywords | 双生児 / 統合失調症 / 遺伝 / 環境 / 神経画像 |
Research Abstract |
統合失調症脳病態に対する遺伝・環境要因の解明を行うため、双生児法を用いた検討を行った。今年度は、健常双生児を対象とした神経画像計測を行い、それらの指標の遺伝性について検討した。指標としては、近赤外線スペクトロスコピーを用いた、語流暢性課題施行時の酸素化ヘモグロビン濃度変化、脳磁図を用いたミスマッチ脳磁場を用いた。さらに、これらの指標と神経伝達物質関連遺伝子多型の関連を求めた。 健常一卵性双生児、二卵性双生児を対象として、52チャンネルのNIRS計測装置を用い、語流暢性課題施行時の酸素化ヘモグロビン濃度変化を計測した。その結果、双生児間の級内相関係数は一卵性の方が二卵性より有意に高ぐ、高い遺伝率を示した。さらに、前頭部の酸素化ヘモグロビン濃度変化量は、前頭前野のドーパミンやグルタミン酸機能と関連し、統合失調症との関連が示唆されるCOMTやσ1受容体遺伝子多型と有意に関連することを見出した。 同じく健常一卵性双生児、二卵性双生児を対象として、204チャンネル全頭型脳磁図を用いて、母音の音素変化の自動的検出を反映するミスマッチ脳磁場の計測を行った。その結果、双生児間の級内相関係数は一卵性の方が二卵性より有意に高く、高い遺伝率を示した。さらに、統合失調症との関連が示唆される代謝型グルタミン酸受容体(GRM3)の遺伝子多型と有意に関連することを見出した。 これらの結果は、統合失調症の中間表現型として注目されている前頭葉、側頭葉の機能を反映する神経画像指標が、高い遺伝率を示し、統合失調症の遺伝環境相互作用を検討する上で重要なプローブとなることが示している。
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