2011 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける地方自治サーヴェイ調査-タイ、インドネシア、フィリピンの比較
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21252003
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
永井 史男 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10281106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋月 謙吾 京都大学, 国際公共財研究科, 教授 (60243002)
持田 信樹 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20157829)
岡本 正明 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (90372549)
西村 謙一 大阪大学, 国際教育交流センター, 准教授 (40237722)
籠谷 和弘 関東学院大学, 法学部, 教授 (70313351)
小林 盾 成蹊大学, 文学部, 准教授 (90407601)
菊地 端夫 明治大学, 経営学部, 准教授 (40515920)
砂原 庸介 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40549680)
安部 鶴代(船津鶴代) 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 研究員 (60450483)
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Keywords | 地方自治 / 地方分権 / 住民参加 / 社会調査 / 自治体サーヴェイ / タイ / フィリピン / インドネシア |
Research Abstract |
平成23年度は、平成21年度、22年度に国内研究会及び海外でのプレテストに基づいて準備した自治体サーヴェイ質問票を使って、フィリピンとインドネシアの現地調査会社と契約を締結し、エリート調査を実施した。フィリピンではランダムサンプリングにより300自治体を抽出し、首長と都市計画局長に対して面接による調査を、インドネシアでは首長については国内すべての県市の首長に対して郵送法による調査を、官房長についてはジャワ島内のすべての県市において面接によって調査をそれぞれ実施した。 その結果、フィリピンでは首長・都市計画局長についてほぼ10割の回収を、インドネシアについては官房長については9割以上の回収を達成したが、首長については1割強に留まった。インドネシアでは自治体首長に対する郵送法による調査回収はこれまでされたことがなく、当初から回収率が低いことが予想されていたが、実際その通りであった。しかし、官房長への面談率が9割以上に上ったのは予想以上の結果であり、フィリピンについても事前の調査会社との話し合いの場ではかなりの困難が予想されていたが、予想外の高い回収率を達成できた。こうした調査は世界的にも初めてのものであり、高い回収成果を収めたことそれ自体に、ひじょうに重要な意義がある。 タイについても平成23年度に実施する予定であったが、中部タイにおける大洪水の影響で、調査会社が動けなかったこと、また洪水の影響を受けたところで自治体調査を行っても回答にバイアスが出ることが予想されたことから、平成24年度に繰り越して実施した。ランダムサンプリングによってタムボン自治体1000ヶ所、テーサバーン500ヶ所を抽出し、面接法と郵送法の両方を使って首長版と助役版の両方を回収した。回収率は3割程度に留まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドネシアとフィリピンについては、当初の計画通り、質問票作成、調査会社との契約、調査経費の送金、自治体からの質問票の回収などが平成23年度内に順調に終了した。 他方、タイについては、平成23年秋にチャオプラヤー川流域で発生した未曽有の洪水のため、質問票による調査の実施を平成24年度に繰り越し、平成24年度内に自治体から調査票の回収を終えた。 ただし、タイでの回収率はインドネシアやフィリピンに比べると3割程度と低い率にとどまった。費用的な制約から郵送法を併用しなければならなかったことが、低い回収率にとどまった理由である。また、タイでの質問票回収が1年間遅れたことで、平成24年度に予定していた3カ国比較の単純集計を行うことができなくなった。 とはいえ、これは時間的な遅れの問題であり、研究上の本質的な問題ではない。それゆえ、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
タイでの自治体サーヴェイ実施が平成24年度に繰り越して実施されたため、研究期間中にタイ自治体データのクリーニング作業や単純集計表の作成、3カ国比較の項目整理を終えることができなくなった。また、平成25年1月12日・13日に開催した国際シンポジウムでも、タイの自治体データ分析に基づく研究発表を行うことができなかった。 今後は、新たに採択が内定した基盤研究B「東南アジアの自治体エリートサーヴェイ分析ータイ、インドネシア、フィリピンの比較」(研究代表者:永井史男、平成25年度から27年度)において遅れているタイの自治体データのクリーニング作業を行うとともに、3カ国の単純集計データを取りまとめた冊子を出すことを短期的な目標とする。 長期的には、3カ国で出そろった自治体データを使用して、統計的分析を行うことによって、英文・和文による学術書の出版を目指す。また、その過程で、国内外で開催される学会や研究会で、発表を行っていく。
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Research Products
(16 results)