2010 Fiscal Year Annual Research Report
第四紀後期の東南極氷床変動史の復元と地球環境変動システムの解明
Project/Area Number |
21253001
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
三浦 英樹 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (10271496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅沼 悠介 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (70431898)
奥野 淳一 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (00376542)
川村 賢二 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (90431478)
大岩根 尚 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (80581363)
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Keywords | 東南極氷床 / 氷床変動 / 地球環境変動システム / 中期更新世 / 氷河地形 / セール・ロンダーネ山地 / 第四紀 / モレーン |
Research Abstract |
平成22年度は第51次南極地域観測隊で採取したセール・ロンダーネ山地の宇宙線照射年代用岩盤試料について、ニュージーランド・カンタベリー大学において石英を抽出する前処理を行い、ニュージーランド地質核科学研究所において、25点の試料(基盤岩8点と迷子石17点)のベリリウム10の分析を行った。セール・ロンダーネ山地における野外調査の風化度評価の結果から、氷食された地形面は古い方から4つのステージ(ステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4)に分けることができた。地形面の区分と宇宙線照射年代測定の結果を合わせると、現氷床からの比高が400-700mに位置する最も古い地形面のステージ4は、約200-130万年前、現氷床との比高が100-300mに位置するステージ3は、約100-18万年前、現氷床との比高が100m以下の地形面であるステージ2と1は、10万年前以降にそれぞれ氷床から解放されたことが明らかになった。また、最終間氷期以降のモレーンの列から得られた表面照射年代は、酸素同位体ステージの5、3,1の比較的温暖な亜間氷期の時期に集中していることが明らかになった。これらの結果は、本研究の3つの目的のうちの、(1)過去の東南極氷床が変動した範囲・高度と時代の決定、(2)東南極氷床が変動する原因の解明、に対して直接的なデータを与える。また、約100万年前のmid-Pleistocene transitionを境に氷床高度が急激に低下している事実や間氷期・亜間氷期にモレーンが形成されているという事実は、目的のひとつである(3)東南極氷床変動が陸上風化環境、海洋環境の変化を通じて地球規模の環境に与えた影響の評価、に対して考察する上で重要な情報を提供するものである。
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Research Products
(12 results)