2010 Fiscal Year Annual Research Report
NANTEN2による相対論的ジェット起源分子雲の系統的探査
Project/Area Number |
21253003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福井 康雄 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30135298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 利和 大阪府立大学, 理学研究科, 教授 (30314058)
山本 宏昭 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (70444396)
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Keywords | 電波天文学 / 星間分子雲 / 分子雲ジェット / 分子雲形成 |
Research Abstract |
本研究は1)NANTEN2望遠鏡を用いたCO J=2-1輝線の観測、2)電波連続波、X線、ガンマ線の観測データを活用し、駆動源となるコンパクト天体の特定、3)CO分子及び同位体の多遷移輝線観測と中性炭素原子の観測、4)磁気流体力学による数値シミュレーションを共同研究として行う、に大別される。2年目となる今年度は以下のことを遂行した。 (1) SS433について野辺山45m鏡を用いた^<12>CO(J=1-0)輝線の観測 SS433のジェットに付随する分子雲について高分解能の観測・データ解析を行い、以下のことを明らかにした。 1. NANTEN2で取得している^<12>CO(J=2-1)輝線との比較を行い、CO(J=2-1)/CO(J=1-0)比は全体的に0.7以下と典型的な暗黒星雲より低いが、局所的には1.0を超える部分が存在している。 2. 北側でSS433に最も近い分子雲(NE)はX線ジェットと同一視線方向上にあり、SS433に近い場所ほど比が高い。 3. 分子雲の冷却のタイムスケールが年齢より短いため、全体的に励起状態が低い可能性が示唆される。 4. 比が高い部分は分子雲の冷却率よりジェットのエネルギーが大きく、局所的に高励起するのに矛盾しない。 (2) MJG348.5の詳細解析 Mopra22m鏡で取得した^<12>CO(J=1-0)輝線とNANTEN2で取得した^<12>CO(J=2-1)輝線のデータの詳細解析を行い、以下のことを明らかにした。 1. SS433同様全体的にCO(J=2-1)/CO(J=1-0)は0.7と低いが、局所的には比が1.0を超える部分がある。 2. 南側の銀河面に近い分子雲(S1)は銀河面に近い側で比が0.9以上と高く、反対側で0.4と低い。これはコンパクト天体の位置関係と比の値、変化の具合がSS433の分子雲NEとよく似ている。 3. SS433と同様に分子雲の年齢と冷却のタイムスケールの比較から、全体的には冷却が進んでいるが、冷却効率とジェットのエネルギーから局所的に高励起にすることができる。 (3) ASTE10m鏡を用いた^<12>CO(J=3-2)輝線観測 チリ・アタカマ高地に設置されているASTE10m鏡を用いて候補天体のうち、2天体について^<12>CO(J=3-2)の高励起線の観測を行った。これは分子雲の励起具合を調査し、性質をより克明に明らかにする上で重要な観測である。
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