2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21255004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市岡 孝朗 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (40252283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 陽子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10343261)
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Keywords | 熱帯雨林 / 節足動物群集 / 生物多様性 / 森林生態 / 東南アジア熱帯 / 生物間相互作用 / 昆虫群集 / 着生植物 |
Research Abstract |
東南アジア地域の熱帯雨林の林冠にみられる節足動物群集の多様性と群集構造を詳細に解明するため、2011年度は以下の野外調査を実施した。ボルネオ島マレーシア国サラワク州のランビル国立公園に展開する熱帯低地フタバガキ混交林において、林冠アクセスシステムを利用して、地上40mを超えるフタバガキ科数種の樹冠部に登攀し、着生シダ3種の10株を採集し、そのうちの2種(ビカクシダの1種Platycerium sp.とアリノスシダの1種Lecanopteris sp.)と共生するシダスミシリアゲアリ(Crematogaster difformis)、その共生ゴキブリおよび好蟻性甲虫数種、残りの1種のシダ(オオタニワタリの1種)が支える空中土壌中のアリ類、好蟻性甲虫、土壌動物を採集した。これらのバイオマスと個体数を計測し、着生植物が林冠の節足動物群集の現存量や種多様性に及ぼす効果を解析した。土壌動物相は、地上部の土壌中のものと比べて、種数、現存量ともに極めて貧弱であることが示された。この調査とは別に、昨年度までに集積した、林冠部のすくい網採集による節足動物類を種別にソーティングし、同定作業を進めるとともにそれぞれの種の食性を推定した。。現在、半翅目、クモ類、アリ類、その他の鱗翅目についての同定と現存量推定のための体サイズ測定を行っているところである。間もなく、生息場所となっている樹種と種構成・個体数・現存量との関係や、食物ギルドの構造についての解析に着手する予定である。また、林冠部に達したオオバギ属アリ植物を寄主植物とする植食性昆虫の寄主植物利用様式と、それらの植食性昆虫を利用する捕食寄生者群集の基本的な構造の一部を、採集・飼育を用いることで明らかにした。これらのアリ植物の共生アリの関与によって、多様で複雑な生物群集が形成されていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「東南アジア地域の熱帯雨林の林冠にみられる節足動物群集の多様性と群集構造を詳細に解明する」という研究の目的を達成するために計画した野外調査がほぼ予定通り行われ、十分なサンプルが得られていると判断できるため。また、得られたサンプルにもとづいて数量的な解析にも着手している点も、判断した区分の根拠である。
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Strategy for Future Research Activity |
種々の野外調査で得られたサンプル・データをさらにもう少し増やす一方、これまでに蓄積したサンプルの整理(同定・計測)を進め、野外で得られたデータとサンプルの整理で得られたデータを基に解析を進める。解析結果を公表に向けて順次まとめていく。
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Research Products
(7 results)