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2012 Fiscal Year Annual Research Report

熱帯雨林の林冠における節足動物の多様性と群集構造

Research Project

Project/Area Number 21255004
Section海外学術
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

市岡 孝朗  京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (40252283)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 乾 陽子  大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10343261)
Project Period (FY) 2009-04-01 – 2014-03-31
Keywords節足動物群集 / アリ群集 / クモ群集 / 熱帯雨林 / 林冠
Research Abstract

これまでの3年間と同様に、東南アジア地域の熱帯雨林の林冠にみられる節足動物群集の多様性と群集構造を詳細に解明するため、ボルネオ島マレーシア国サラワク州のランビル国立公園に展開する熱帯低地フタバガキ混交林において、林冠アクセスシステムを利用して、各種の節足動物について、すくい網法と叩き網法を用いてサンプリング調査を行うとともに、さまざまな樹種の樹上で各種の節足動物の採餌行動の観察をおこなった。これら新たに追加したサンプルと共に、同時に、これまでに蓄積したサンプルを用いて解析を進めた。特に、広食性捕食者の存在量について解析を進めた。その結果、樹内のアリ類とクモ類の相対密度は逆相関を示すことが明らかになった。現在、特に、林冠部におけるつる植物の分布に着目して、つる植物の存在量がアリ類の空間分布様式に与える影響を解析している。また、ハムシ類の採餌習性について、観察とサンプルから解析を進めた結果、樹冠部に生息するハムシ類の多くでは、一種の成虫が利用する寄主植物の食性幅は従来予想されていたよりはるかに幅広いことが示された。さらに、半翅目昆虫の利用樹種特異性について同様の解析を進めている。現在のところ、ごく一部の種を除いて、高い寄主特異性を示す種はほとんどいないことが明らかになってきた。林冠部におけるアリによる対植食者防衛が植食者群集の資源利用様式に与える効果を明らかにするために、オオバギ属アリ植物をモデル系として、この系に入り込む植食者群集の寄主特異性を、飼育・観察・野外実験植物によって分析した。これまでの分析により、アリによる防衛行動が、植食者側の採餌習性に多大な影響を与えることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

予定していた野外調査の一部が、現地の林冠観測システムの不調により計画していた日程の通り行うことができず、翌年度に持ち越さなければならなくなった。しかし、その他の大部分の調査は予定通り進めることができ、また、すでに集積していたサンプルも順調に整理が進み、アリ類、クモ類、半翅目昆虫についてはほぼ全個体について形態種へのソーティングが完了してデータが生成されるにいたった。このデータを用いて、定量的な解析が進むとともに、分類学的な研究も進展した。また、オオバギ植物を食する植食性昆虫に関する研究が多面的に進展し、それらの採餌習性に関する多くの知見が得られた。そうした研究計画の進展により、結果の一部が学術雑誌への投稿論文のいくつかにまとめられた。
これらのことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると結論できる。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究計画は順調に推移しており、また、成果(研究試料とデータの蓄積、データの解析結果にもとづく研究成果の公表)は着実に上がっているので、残りの期間も当初の計画通りに研究を遂行する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2012 Other

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Timing of butterfly parasitization of a plant-ant-scale symbiosis2012

    • Author(s)
      Ueda, S., Okubo, T., Itioka, T., Shimizu-kaya, U., Yago, M., Inui, Y. and Itino, T.
    • Journal Title

      Ecological Research

      Volume: 27 Pages: 437-443

    • DOI

      10.1007/s11284-011-0915-3

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] ow do scale insects settle into the nests of plant-ants on Macaranga myrmecophytes? Dispersal by wind and selection by plant-ants2012

    • Author(s)
      Handa, C., Ueda, S., Tanaka, H., Itino, T. and Itioka, T.
    • Journal Title

      Sociobiology

      Volume: 59 Pages: 435-446

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Effects of a fern-dwelling ant species, Crematogaster difformis, on the ant assemblages of emergent trees in a Bornean tropical rainforest.2012

    • Author(s)
      Tanaka, H. O. and Itioka, T.
    • Journal Title

      Annals of the Entomological Society of America

      Volume: 105 Pages: 592-598

    • DOI

      10.1603/AN11149

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 好蟻性シジミチョウArhopala zyldaの幼虫に見られる特異な習性

    • Author(s)
      清水加耶・大久保忠浩・乾陽子・市岡孝朗
    • Organizer
      日本昆虫学会第72回大会
    • Place of Presentation
      玉川大学農学部
  • [Presentation] 擬態現象を生物多様性創出・維持機構として解析する: サラワク州ランビル熱帯雨林におけるアリ類垂直分布構造とアリグモ属のアソーシエーション

    • Author(s)
      橋本佳明・遠藤知二・市岡孝朗・坂本拡道・山崎健史
    • Organizer
      日本昆虫学会第72回大会
    • Place of Presentation
      玉川大学農学部

URL: 

Published: 2015-05-28  

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