2009 Fiscal Year Annual Research Report
侵入害虫キムネクロナガハムシの生物的防除の有効性における科学的検証
Project/Area Number |
21255008
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高須 啓志 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (50212006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足達 太郎 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (50385506)
高木 正見 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20175425)
津田 みどり 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (20294910)
多田内 修 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10150509)
紙谷 聡志 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (80274520)
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Keywords | 侵入害虫 / 生物的防除 / 寄生蜂 |
Research Abstract |
侵入害虫に対する導入天敵の評価を行うには、害虫の原産地における土着天敵の働きを知る必要がある。侵入害虫キムネクロナガハムシは、2つの系統アジア系統(インドネシア原産)とパプアニューギニア系統(PNG原産)の2つの形態では区別できない系統があることが明らかになった。そこで、本種の生物的防除の有効性を評価するために、2系統の原産地であるインドネシアとPNGで本種密度、ココヤシへの被害、天敵相について調査を行った。平成22年9月には、インドネシアのバリ島において調査した。その結果、本種は苗、低木、高木のいずれのココヤシの葉に被害が見られた。高木では、一部の木に被害が集中していた。また、バリ島ではアジアの侵入地では見られない本種の茶色型(背板が茶色)が採集された。さらに、卵寄生蜂2種(トリコグラマ、トビコバチ)、蛹寄生蜂1種が記録された。卵寄生蜂2種は雌性単為生殖であるため、ボルバキアによる感染が疑われた。平成23年3月に、パプアニューギニアのニューブリテン島で調査を行った結果、ココヤシはナーサリーの苗や低木に被害が集中しており、高木への被害はほとんど観察されなかった。また、寄生蜂はまったく採集されなかったが、本種が生息する葉に多数のハサミムシが観察された。 以上の結果から、本種の2つの系統は生態が異なっており、PNG系統は苗や低木を攻撃するが、アジア系統は苗、低木だけでなく高木も攻撃することがわかった。高木も攻撃するアジア系統が東南アジアに侵入したため、そこでココヤシに大きな被害を出すようになったと推察された。今後、生態の異なる2系統に対する天敵の作用を明らかにする必要がある。
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