2009 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける有毒微細藻類の発生と海洋生物の毒化機構
Project/Area Number |
21255009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福代 康夫 The University of Tokyo, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (70095511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 卓朗 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 特任助教 (80507880)
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Keywords | 食中毒 / 貝毒 / 有毒微細藻類 / 水産資源利用 / シガテラ |
Research Abstract |
ベトナム中部の南シナ海に面するNha Phu湾において、二枚貝Spondylus versicoloreに蓄積する記憶喪失性貝毒のドーモイ酸の量と、それを生産していると考えられるPseudo-nitzschiaの仲間の珪藻が含まれるプランクトン画分のドーモイ酸の量の定期的観測を、研究協力者のベトナム海洋研究所のDao Viet Ha博士に依頼して行った。後者は検出されないことがほとんどであったが、7月20日のプランクトン試料から微量検出され、それに伴って前者も一週間後に急増して数週高い毒性が継続した。この7月20日に発生していたPseudo-nitzschiaの仲間の珪藻は、透過型電子顕微鏡による観察からP.pungensと同定され、以前確認されていたNha Phu湾に発生する毒生産種と目されるP.cacianthaとは異なる種が毒を生産している可能性があると考えられた。ただ、このときに作製したP.pungensの培養株からは毒生産能力は確認されなかった。7-8月の貝毒化現象の確認以降も定期観測を継続したが、プランクトン、時折微量の毒が確認されただけで、顕著な毒量発現・蓄積はなかった。 有毒渦鞭毛藻Pyrodinium bahamenseによって生産された麻痺性毒の貝への蓄積と、その貝を喫食することによる食中毒事件が多発するフィリピンで、水産資源局のJuan Relox Jr.氏と共に、有毒種の広域化の様態を探るため試料と情報の交換を開始したが、2009年はミンダナオ島沿岸の従来有毒種の発生が報告されていなかった海域で、1名の死者を含む8名の中毒事件が起こっていた。また、フィリピン中部の太平洋に面するマラリナオ湾でも2010年3月に同様の中毒事件が起こった。今後、両海域を含め、培養株などを用いて形態と遺伝子形質の分析を開始する予定である。
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Research Products
(8 results)