2011 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける有毒微細藻類の発生と海洋生物の毒化機構
Project/Area Number |
21255009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福代 康夫 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (70095511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 卓朗 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 特任助教 (80507880)
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Keywords | 食中毒 / 記憶喪失性貝毒 / シガテラ / 渦鞭毛藻類 / ハプト藻 / ベトナム / フィリピン / 東南アジア |
Research Abstract |
ベトナムにおいては中部ニャチャン市に近いNhaP hu湾で、荒天で調査ができなかった9-12月を除き、ほぼ週に1回記憶喪失性貝毒の調査を行ったが、通常最も高い毒性を示すSpondylusの二枚貝ならびにプランクトン試料に毒性が認められなかったため、従来より原因種と考えられているPseudo-nitzschia属珪藻の毒生産性に関する確認が23年度はできなかった。なお、調査期間中に毒検出方法としてELISAによる比色分析法を開発し使用した。北部ベトナムのハイフォン市に近い沿岸域で、ハプト藻Phaeocystisの一種による大規模赤潮、さらにヤコウチュウNoctiluca scintillansの赤潮発生が確認され、魚類斃死も見られた。これらについては現在水質環境の状態を確認中であるが、近隣の中国沿岸水域の富栄養化が発生に大きく関係しているものと考えられた。 シガテラ魚毒による中毒は東南アジア域では2011年度は確認されなかったが、フィリピン、インドネシア、マレーシアなど調査試料を海外研究協力者から入手できた海域から原因微細藻Gambierdiscusの種が発見できた。しかし、これらの試料中の種とG.toxicusとの異同については、G.toxicusのタイプ試料が得られなかったため確認できなかった。これらの試料中にはOstreopsis ovata,O.lenticularis,O.siamensis,Prorocentrumlimaなどの底生性種が多数発見され、これらの種の正確な同定と毒生産能を含めた生理学的解析が必要と考えられた。特に、シガテラ中毒の症状の地域による差異が、Ostreopsis属やProrocentrum属の種の作る毒による影響とも考えられ、本研究で作成した培養株の継続的保存と利用が重要と考えられた。
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Research Products
(17 results)