2010 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカに生息する小型草食獣の生体情報を使った環境評価、資源活用、家畜疾病の調査
Project/Area Number |
21255010
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
安田 準 岩手大学, 農学部, 教授 (20142705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 光敏 鹿児島大学, 農学部, 教授 (00174954)
福士 秀人 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (10156763)
鈴木 正嗣 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90216440)
板垣 匡 岩手大学, 農学部, 教授 (80203074)
淺野 玄 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (30377692)
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Keywords | アフリカ・ザンビア / 小型草食野生動物 / 糞便中薬剤耐性菌 / 歯牙年齢査定 / 糞中ステロイドホルモン / 牛 / 遺伝子種判定 / 密猟対策 |
Research Abstract |
平成22年8月および23年3月に研究班員はザンビアに出張し、海外研究協力者のザンビア大学獣医学部教員と協力して現地調査を行った。8月にはカフェおよびロッキンバー国立公園、およびその近郊の農場で小型草食野生動物のプクや牛の生体材料を採取した。またチャミヌカゲームランチで草食野生動物の材料採取協力が得られた。これらの材料を使って、プク雄4頭から寄生虫の検出を試みた。検出された蠕虫類は、腹腔から糸状虫(Setaria pillelsi 16虫体、Setaria bicornata 7虫体)、腸間膜静脈より住血吸虫(Schistosoma spp.27虫体)、第1胃より双口吸虫(Calicophoron calicophorum多数)、小腸より線虫類(Cooperia conchaeti多数、Bunostomum spp.多数)、大腸より線虫(Oesophagostomum sp.1 38虫体、Oesophagostomum sp.2 16虫体、Trichuris sp.3虫体)、肝臓実質より舌虫(Porocephalidae gen.sp.6虫体)であった。野生動物や牛の糞便や水からは、大腸菌と腸球菌の分離,ヘルペスウィルスの検査を行った。野生動物間の大腸菌伝播はまれであり、腸球菌の薬剤耐性評価では,野生のバッファロー,ゾウ各1検体からオキシテトラサイクリン耐性Enterococcus faecalisが分離された(耐性率2.78%,n=72).野生動物由来腸球菌の菌種構成を比較したところ,食性による差が認められた.プク(4個体)由来DNAを用いたヘルペスウィルス検査(nested PCR)ではすべて陰性だった.草食動物の雄(プク11頭・インパラ6頭)の滅菌乾燥処理した糞中からステロイドホルモンを時間分解蛍光免疫測定法(TR-FIA)によりテストステロン濃度の測定が可能であり、非侵襲的な繁殖機能の検査として利用可能であることが示された。Impara43頭,Puku15頭,Eland1頭,Lechwe9頭の下顎から切歯または/および犬歯を採取して年齢査定を行っている。野生動物の遺伝子による種判別を目的にPCRを実施した。また、市場における密猟肉摘発への応用を考慮し、野生動物肉と比較するために家畜(牛、豚、鶏など)の肉についても検討した。
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