2009 Fiscal Year Annual Research Report
鍵が不要かつ無条件に安全な暗号伝送方式に関する研究
Project/Area Number |
21300001
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
黒澤 馨 Ibaraki University, 工学部, 教授 (60153409)
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Keywords | 完全安全 / メッセージ伝送方式 / 情報理論的安全性 / 暗号 / 盗聴、改ざん / 秘密分参共有法 |
Research Abstract |
送信者と受信者の間にn本のチャネルが存在し、敵は高々t本しか盗聴・改ざんできない、というモデルにおいて、鍵が不要でかつ無条件に安全な暗号伝送方式を構成すること考える。 本研究では、まず、報告者のEurocrypt 2008の論文を以下のように発展させ、t=(n-1)/2に対し、2ラウンドで、伝送レートが0(n)、かつ、送受信者の計算量が多項式時間アルゴリズムとなる無条件安全メッセージ伝送方式を完成させた。まず、Eurocrypt 2008の論文においては、後半に大きな誤りがあったため、これをグラフ理論のマッチングを利用することにより解決した。次に、Eurocrypt 2008で導入した擬似次元と誤りベクトルが張る空間との関連が明確でなかったため、これを明確にし本方式の正しさを証明した。 本研究では、次に、任意のアクセス構造Γを有する秘密分散共有法に対し、再構成段階に不正なプレーヤが偽りのシェアを公開したとしても正しく秘密を復元できるための必要十分条件は、Γの補集合族がQ3という条件を満たすことである、という基本的な定理を証明した。さらに、それを実現するための多項式時間アルゴリズムを示した。最後に、それをメッセージ伝送方式に応用し、以下の成果を得た。n本中、敵が盗聴・改ざんできるチャネルの部分集合の族(敵構造と呼ばれる)がQ3という条件を満たす場合に対し、多項式時間で動作する1ラウンドの無条件安全メッセージ伝送方式を開発した。従来、このモデルに対しては、指数時間かかってしまう方式しか知られていなかった。
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